重賞ウィナーレポート

2007年04月29日 天皇賞(春) G1

2007年04月29日 京都競馬場 晴 良 芝 3200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:メイショウサムソン

プロフィール

生年月日
2003年03月07日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:17戦8勝
総収得賞金
1,065,949,000円
馬主
松本 好雄
生産者
林 孝輝 (浦河)
調教師
高橋 成忠
騎手
石橋 守
  • 母マイヴィヴィアンも誇らしげ
    母マイヴィヴィアンも誇らしげ
  • 当歳時のメイショウサムソンと母マイヴィヴィアン~写真はファンの方から牧場へ送られたものです。
    当歳時のメイショウサムソンと母マイヴィヴィアン~写真はファンの方から牧場へ送られたものです。
  • 牧場の留守部隊となった長男一輝さん
    牧場の留守部隊となった長男一輝さん
  • 表彰の時の父喜久治さん~写真はファンの方から牧場へ送られたものです
    表彰の時の父喜久治さん~写真はファンの方から牧場へ送られたものです
 林孝輝さん生産のクラシック2冠馬メイショウサムソンが、古馬になってからも順調に実力を見せ天皇賞・春を制した。
 トライアルの大阪杯で優勝した時に、林さんは先代の父・喜久治さんと母親を天皇賞の行なわれる京都競馬場まで連れて行くことを決めていた。
 そのおじいちゃんは、自分の時代にシーキャリアー(七夕賞)を出していたものの、クラシック戦線やGⅠのレースで自分のところの生産馬が優勝するなどは夢だったと語っていたのを思い出す。
 本馬の相次ぐ快挙に目を丸くして喜んでいたおじいちゃんが、ようやく息子さん(孝輝さん)の強い誘いで、重い腰を上げて競馬場に愛馬の応援に行く事になった。林さんにとっても、またとない親孝行の機会となり、本馬も持ち前の勝負根性で大きな恩返しをしてくれた。

 応援には、東京在住の林さんの兄弟、親戚も参加していた。レース時は別席となったが、林さんは優勝直後に両親に表彰会場に来てもらった。優勝したら、おじいちゃんに表彰台に上って貰おうと心に決めていたからだ。
 林さんは「表彰式が終わって、親父が一言‘有難う’って嬉しそうに言ってくれました。」と。
 この一言には家族経営の生産者の様々な想いが込められる。
 口取り写真には、おばあちゃんも参加し、留守を預かる奥さんの美鈴さんに、早速、おばあちゃんから電話が来たそうだ。
 「おばあちゃんは、初めての経験だったので、足が震えてしっかりと歩く事も出来なかったようです。感激してウルウルとしていた様子でした。本当に良かったですよ。」と微笑む美鈴さん。
 天皇賞という盾には、別格の重みがある。

 レースの翌日、まだ皆さんが牧場に戻る前にお伺いした時には、長男の一輝さんが、美鈴さんとスタッフの後藤さんと共に留守部隊を預かっていた。釧路の高専に通う一樹さんは、休みを利用して手伝いに戻っていた所。
 「おじいちゃんとおばあちゃんも応援に行っていたので、勝ってくれて良かったですよ。(本馬は)頑張ってくれましたね。」と、溌剌とした表情を見せていた。
 林さんには、中学生の娘さんもいますが、本馬の活躍には喜びと同時に夫々の家族への想いがあるようだ。
 本馬は、次走の予定が宝塚記念で、さらに凱旋門賞挑戦への計画があるそうだが、林さんは「オーナーと先生方の決められることですからね。ただ応援させて頂くだけですよ。とにかく無事に走り続けて貰いたいと願うだけです。」とニコヤカに笑う。

 昨年の皐月賞トライアル・スプリングS、2着馬フサイチリシャールと馬体を併せた時に、相手をにらみつけて抜け出た本馬。“幼駒の頃に見られなかった愛馬の激しい表情に驚いた。”と美鈴さんは語っていたが、その勝負根性は、さらに磨きがかかっている。
 本馬の活躍には、林孝輝牧場のみならず、馬産地日高の期待が懸かっている。