重賞ウィナーレポート

2020年10月18日 秋華賞 G1

2020年10月18日 京都競馬場 晴 稍重 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:デアリングタクト

プロフィール

生年月日
2017年04月15日 03歳
性別/毛色
牝/青鹿毛
戦績
国内:5戦5勝
総収得賞金
610,915,000円
エピファネイア
母 (母父)
デアリングバード  by  キングカメハメハ
馬主
(株) ノルマンディーサラブレッドR
生産者
長谷川牧場 (門別)
調教師
杉山 晴紀
騎手
松山 弘平

 3歳牝馬のG1競走第3弾「第25回秋華賞(G1)」は松山弘平騎手騎乗の1番人気デアリングタクトが後方待機策から最後の直線で力強く抜け出して先頭ゴールイン。デビューからの連勝記録を「5」とすると同時に、史上初めて無敗のまま牝馬三冠レースを駆け抜けた。これまで、どの馬も成し遂げられなかった偉業は、家族だけでていねいな馬づくりを続けてきた日高町の生産牧場から生まれた馬で成し遂げられた。

 デアリングタクトの生まれ故郷、長谷川牧場の創業は昭和23年。現在、2代目当主の長谷川文雄さん(69)とその家族、数名のスタッフによって、丈夫で強い馬づくりを目指している。かつては、10頭前後を生産していた時代もあるが。ここ数年は4~5頭に抑えられており、デアリングタクトを除けばJRAの重賞勝馬は2010年の小倉大賞典(G3)に勝ったオースミスパークのみ。ほか、93年マイルチャンピオンシップ(G1)でシンコウラブリイの2着だったイイデザオウや、まだオープン特別時代の富士Sに勝ったビコーアルファーなどを生産してきた牧場だ。

 愛馬の大一番をテレビで観戦していた長谷川さんは、開口一番「競馬は何が起こるかわからないし、いくら人気を背負っていても勝てないときもある。今回は、周囲が期待してくれているのは肌で感じていただけに、緊張した。その期待に応えてくれて、本当に嬉しい。桜花賞(G1)のときも、オークス(G1)のときも嬉しかったけど、今回が1番嬉しい」と笑顔を広げ「大きく増えていた馬体重を見た時には驚いたが、調子は良いと聞いていた。今回は、厩舎も、騎手も大きなプレッシャーの中で大変だったと思う。そういう重圧の中で、結果を残してくれたことには頭が下がる」と感謝の言葉を続けた。

 史上初となる無敗の三冠牝馬となったことについては「馬から大きな夢をもらったという気持ち。今でも信じられない」と話し「こんな素晴らしい馬を産んでくれて、そして育ててくれたのは母馬。デアリングバードには感謝してもしきれない。すべては、母馬のおかげ」と目を細めている。

 そのデアリングバードは今年、現役時代に米国チャンピオンスプリンターに輝いたドレフォンを父に持つ牝馬を出産。生まれた仔馬は「とても元気。放牧地を飛んで歩いている」という活発なお嬢様のようだが、偉大なる母は「今年、出産が遅かったために」種付けはせずに、来シーズンに備えているという。

 「三冠牝馬になって、次走はジャパンカップ(G1)と聞いていますが、ケガをしないことが1番。大きな目標を達成して、これからプレッシャーからは解放されると思う。持っている力を出し切れるように、この馬らしい競馬をして欲しい」と期待に胸を膨らませている。