重賞ウィナーレポート

2020年07月24日 兵庫サマークイーン賞(GDJ)

2020年07月24日 園田競馬場 雨 稍重 ダ 1700m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エイシンセラード

プロフィール

生年月日
2015年03月07日 05歳
性別/毛色
牝/栗毛
戦績
国内:16戦6勝
総収得賞金
50,261,000円
カネヒキリ
母 (母父)
エーシンアマゾーン  by  ファルブラヴ(IRE)
馬主
平井 克彦
生産者
川越ファーム (浦河)
調教師
橋本 忠明
騎手
田中 学
  • エイシンセラードの母エーシンアマゾーン(13歳)
    エイシンセラードの母エーシンアマゾーン(13歳)
  • エーシンアマゾーンはカリフォルニアクロームの仔を受胎中
    エーシンアマゾーンはカリフォルニアクロームの仔を受胎中
  • 川越ファームの放牧地
    川越ファームの放牧地
  • 川越ファームの代表生産馬テイエムオーシャン(22歳)と、今年産んだ当歳馬(牡、父リアルスティール)
    川越ファームの代表生産馬テイエムオーシャン(22歳)と、今年産んだ当歳馬(牡、父リアルスティール)
  • 川越ファームの厩舎
    川越ファームの厩舎
  • 川越ファームの看板
    川越ファームの看板

 『グランダム・ジャパン2020』古馬シーズン第4戦の「兵庫サマークイーン賞(園田)」は、4番人気のエイシンセラードが逃げ切って3馬身差の快勝。南関東&東海地区からの遠征馬4頭をまったく寄せつけず、地元代表の意地を見せて重賞初勝利を飾った。

 エイシンセラードの生まれ故郷は、浦河町絵笛の川越ファーム。2001年の桜花賞(G1)と秋華賞(G1)を制するなど重賞5勝を挙げた名牝テイエムオーシャンの生産牧場として知られ、現代表の川越祐樹さんが4代目となる歴史ある牧場だ。「テイエムオーシャンが活躍している頃、私はまだ小学生でした。当時から父に連れられてよく競馬場へ行っていたので、牧場を継ぐのは自然な流れでした」と話す川越さんは現在32歳。大学卒業後に実家へ戻り、この仕事を始めて今年でちょうど10年になるそうだ。

 「エイシンセラードの母エーシンアマゾーンは、栄進牧場さんからお預かりしている繁殖牝馬です。繁殖入りしてから4年連続で出産したのですが、セラードを産んだあとは受胎状況があまり良くなく、5年間で1頭しか生まれていないんですよ。今年はカリフォルニアクロームの仔を無事に受胎しましたので、ホッとしているところです」と母馬を紹介。「受胎さえしてくれれば仔出しは良く、初仔のエイシンカーニバルもJRAで2勝しましたし、現2歳の牡馬(父フリオーソ)も昨年のサマーセールで高い評価をしてもらえました。来年生まれてくる仔も楽しみです」と、ケンタッキーダービー馬を父に持つお腹の中の仔にも期待を膨らませる。

 「エイシンセラードは牝馬にしては大きく、とてもバランスのとれた馬体をしていました。性格も素直で、怪我や病気もなく順調に育ちました」と、同馬が牧場で過ごした幼少期を懐かしそうに振り返る。1歳秋に育成牧場へ移り、3歳3月にJRAデビュー。初戦は5着に敗れたが、2戦目から3連勝をおさめ、初重賞挑戦となった4歳初戦のTCK女王盃(Jpn3)では2番人気に支持される。結果は8着に敗れたものの、つづく1600万下(現在の3勝クラス)の上総Sにも勝利してオープン入り。エイシンセラードの未来は、誰の目にも輝いているように見えた。「この段階で牝馬限定の交流重賞に挑戦できればよかったのですが、賞金が足りずに出走が叶いませんでした。JRA所属のままでは牡馬と重賞で戦わなければならないので、地方へ活路を求めることになったようです」と移籍に至った理由を明かしてくれた。

 その後、愛知→大井→兵庫と所属を変え、迎えた5歳夏の兵庫サマークイーン賞。このレースには前年のグランダム・ジャパン古馬チャンピオン・クレイジーアクセルが参戦し、圧倒的1番人気に支持されていた。「逃げると思われていたクレイジーアクセルが大きく出遅れましたからね。揉まれると良くないタイプなので、気持ちよく逃げてペースを握れたのが大きかったと思います。距離も1700mぐらいあった方がスムーズな競馬ができ、この馬には合っているような気がします」と、初重賞タイトルを獲ったレースを分析する。

 「JRA時に管理していた今野調教師が『古馬になってからもっと良くなる』と言っていたので、今後が楽しみです。ひとつでも多くのタイトルを獲り、繁殖として牧場に戻ってきてくれると嬉しいですね。期待しています」と川越さんはエイシンセラードにエールを送り、未来に夢を膨らませている。

 川越ファームを全国に知らしめたテイエムオーシャンも22歳になり、今年産んだ仔(牡、父リアルスティール)を最後に繁殖生活を引退。今後は功労馬として、川越ファームの繁殖牝馬とその仔たちを見守っていくことになる。いつの日かその視線の先に、グランダム・ジャパンのタイトルを獲って母となったエイシンセラードの姿があることを願いたい。