2019年06月23日 宝塚記念 G1
優勝馬:リスグラシュー
プロフィール
- 生年月日
- 2014年01月18日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:18戦5勝
- 総収得賞金
- 887,381,000円
- 父
- ハーツクライ
- 母 (母父)
- リリサイド(FR) by American Post(GB)
- 馬主
- (有) キャロットファーム
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 矢作 芳人
- 騎手
- D.レーン
今やスマホといった端末と電波の届くところにさえいれば、日本中どこでもTVが見られるようになったワンセグ。宝塚記念(G1)の当日は私用で応援に行けなかったノーザンファーム早来の野崎孝仁厩舎長も、育成馬のリスグラシューの走りをスマホの画面から応援していた。
「4コーナーを回ったとき、いきなり電話が鳴り始めました。その瞬間にリスグラシューが勝ったのではと思ったのですが、電話に出てみると『おめでとう!』との言葉が返ってきて、やっぱりそうだったかと思いました」(野崎厩舎長)
その後も立て続けに電話が鳴り響き、その全ての電話に答えた後、スマホの画面にはウイニングランに臨むリスグラシューの姿が映し出されていた。
前走のクイーンエリザベス2世カップ(G1)から約2か月、リスグラシューは夏のグランプリである宝塚記念(G1)に出走を決める。ファン投票による選出馬を中心に12頭が名を連ねたが、その中に牝馬はリスグラシューしかいなかった。
「さすがにこのメンバーに入ると挑戦する立場にはなっていましたが、決してチャンスが無いとも思ってはいませんでした。遠征の疲れも見られなかったどころか、調教の内容も良かったですし、馬体を見ても更に成長を遂げたような印象がありました」(野崎厩舎長)
その充実したリスグラシューの能力を、更に引き出したのが鞍上を務めたD.レーン騎手だった。これまでは牝馬らしい切れのある脚を武器としてきたリスグラシューであったが、レーン騎手はスタート直後から逃げたキセキをマークする位置取りでレースを進めて行く。電話に出ていた野崎厩舎長が見逃した最後の直線、リスグラシューはキセキを一気に交わしていき、3馬身差を付けてゴールする。
D.レーン騎手はこの勝利で、短期免許を取得した外国人騎手としては過去最多となる重賞6勝をあげただけでなく、ヴィクトリアマイル(G1)(ノームコア)に続くG1勝利をあげる。そのノームコアもまた、野崎厩舎の育成馬だった。
「阪神の芝コースは比較的前が残る傾向にあったので、ある程度の位置で競馬をしてくれないかとも思ってましたが、あの位置取りで競馬をさせてくれたことはさすがだなと思いました。スタート直後は引っかかるようなそぶりも見せましたが、キセキを前に置いた1コーナーからは折り合いもついていました」(野崎厩舎長)
牝馬での宝塚記念勝利(G1)は2016年のマリアライト以来、史上4頭目。そしてノーザンファーム早来で育成された牝馬では初めてとなる。
「日下和博調教主任が厩舎長だった頃、ブエナビスタで2度に渡って2着に敗れてきたレースだっただけに、日下さんからは『俺が取れなかったG1を勝ってくれたな』と言われました。まだ早来の牝馬が勝てていないG1レースもありますし、他の育成馬と共にそれを埋めていきたいですね」(野崎厩舎長)
この秋はオールカマー(G2)からの始動を予定しているリスグラシューだが、この宝塚記念(G1)で牡馬を一蹴したリスグラシューなら、牝馬限定以外のG1レースでも、残されたパーツを埋めていくような活躍も期待できそうだ。