2019年04月07日 ル・プランタン賞(GDJ)
優勝馬:スーパージンガ
プロフィール
- 生年月日
- 2016年04月30日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:12戦6勝
- 総収得賞金
- 24,827,000円
- 馬主
- 原 大栄
- 生産者
- バンブー牧場 (荻伏)
- 調教師
- 渡辺 博文
- 騎手
- 真島 正徳
『グランダム・ジャパン2019』3歳シーズンの第3戦「ル・プランタン賞(佐賀)」を、2番人気のスーパージンガが快勝。道中は3番手を楽に追走し、3~4コーナーでは早くも先頭に。最後の直線でも鞍上の真島正徳騎手が何度も後ろを振り返るほど余裕の手応えで、高知から遠征してきた1番人気ナンヨーオボロヅキを4馬身突き放した。
スーパージンガの生まれ故郷は、浦河町野深のバンブー牧場。古くは第49代日本ダービー馬バンブーアトラス、オグリキャップとの死闘が今でも語り継がれる名マイラーのバンブーメモリー、菊花賞馬バンブービギンなどのG1馬を送り出したオーナーブリーダーとして名を馳せ、近年も2016年の高松宮記念(G1)を生産馬のビッグアーサーが制するなど、競馬史を語るうえで欠かすことのできない名門牧場である。
「スーパージンガは、牧場で過ごした時期のことを良く覚えている馬なんですよ。と言いますのも、生まれつき食道に欠陥があり、うまく牧草を飲み込むことができなかったんですね。ですから放牧中は牧草を詰まらせないように口かごをしたり、飲み込みやすいように飼葉の水分を多くしたりして、他の馬の何倍も手をかけて育てたんです。その馬が重賞を勝てるまでに成長してくれて感無量です」と話すのは、同牧場の現代表・竹田辰紀さん。竹田さんがスーパージンガに強い思いを寄せるのには、もうひとつ理由がある。「私が代表になって、初めてG1レースを勝ってくれたのがティコティコタック(2000年・秋華賞(G1))なんです。その牝系から活躍馬が出てほしいと、ずっと思っていたんですね。スーパージンガは、ティコティコタックの産駒として唯一うちの牧場に残っているヴィカバンブーが産んだ最初の仔で、しかもその父はうちの生産馬バンブーエール。当然、思い入れも強くなります(笑)」と顔を綻ばせる。
父バンブーエールは、2008年のJBCスプリント(Jpn1)優勝馬。ダートの短距離を中心に活躍し、6歳時にはドバイゴールデンシャヒーン(G1)に挑戦して4着に健闘した実績を持つ。「ドバイで世界の強豪相手に掲示板に載ったことで、種牡馬として血を残したい気持ちが強くなりました。距離も短距離のイメージが強いですが、3歳時にはジャパンダートダービー(G1)やダービーグランプリ(G1)で2着した実績もありますしね」とバンブーエールの能力を高く評価していた竹田さんのヨミは当たり、少ない産駒の中からクリノヒビキ(園田オータムトロフィー、岐阜金賞)やキャッスルクラウン(平和賞2着、戸塚記念3着)など、地方重賞で活躍する馬が出現。またバンブーエール産駒は総じて市場での評価が高く、2018年の北海道トレーニングセールに上場されたブラックカシミールの2016(牡)が4,860万円(税込)の最高価格を記録して話題になったほか、ダンツゴウユウ(JRA5勝)やサニーダンサー(JRA3勝)など、市場取引された馬たちがきっちりと結果を出しているのも特徴的だ。「産駒を高く評価してもらえるのは、本当にありがたいことです。種牡馬界も年々競争が激しくなっていますが、その中でも存在感を示し、ここへきて種付数が増えているのはたいしたものだと思います」と誇らしげに話してくれた。
一方の母ヴィカバンブーは、今春(4月17日)に父ビッグアーサーの元気な牡馬を出産。こちらも生産馬同士の配合で、将来が楽しみだ。「今年生まれた牡馬も出来が良く、早くもオーナーが決まりました。スーパージンガの1歳下には父バンブーエールの牝馬がいて、こちらはJRAからデビュー予定だと聞いています。今年はヴィカバンブーにサトノダイヤモンドを交配し、無事に受胎しました」と妹弟や、お腹の仔についても話してくれた。祖母ティコティコタックは繁殖を引退し、今年から功労馬として悠々自適な日々を送っている。
「門別では5戦して勝つことができませんでしたが、佐賀に移籍してからのスーパージンガの走りは目を見張るものがありますね。よほど九州の水が合ったのでしょう(笑)。このまま順調に活躍し、将来はティコティコタックからつながる牝系をつないでいってくれると嬉しいです」と未来へ希望を膨らませる竹田さん。イーストスタッドで種付けに励む父バンブーエール、今春生まれた弟の子育てに奮闘する母ヴィカバンブー、そしてG1馬の血を後世へつなげる役目を終えたばかりの祖母ティコティコタックとともに、遠い浦河の地からその勇姿を見守っている。