2019年01月20日 AJCC G2
優勝馬:シャケトラ
プロフィール
- 生年月日
- 2013年03月17日 06歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:12戦5勝
- 総収得賞金
- 275,125,000円
- 母 (母父)
- サマーハ(GB) by Singspiel(IRE)
- 馬主
- 金子真人ホールディングス (株)
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 角居 勝彦
- 騎手
- 石橋 脩
2017年の有馬記念(G1)以来、391日ぶりの出走。しかも、最後に勝ち鞍をあげたのは、2017年の日経賞(G2)。その2017年の天皇賞(春)(G1)では3番人気、続く宝塚記念(G1)でも2番人気の支持を集めたシャケトラではあったが、このアメリカJCC(G2)で11頭中の7番人気まで評価を落としていたのは、その後の不振だけでなく、何よりも長期の休養明けからすると、仕方が無かったのかもしれない。
しかしながら、最後の直線では先に抜け出した2番人気のジェネラーレウーノに並びかけ、そして一気に交わしていく。それどころか、後方から末脚を伸ばしてきた1番人気のフィエールマンの追撃を封じ込んで、先頭ゴール板を駆け抜けるという見事なレースぶり。鞍上の石橋脩騎手は昨年の10月に落馬で右足関節脱臼骨折の大怪我を負っており、今年の1月5日に復帰したばかり。また、管理をする角居勝彦調教師にとっても、調教禁止処分が解けてからの初重賞勝利。共に長いスパンを置いた人や馬、それに関わる人やファンにとっても、まさに待ちわびた勝利となった。
このシャケトラの快走を驚きながら、そして感無量の思いで見てきたのが、左第3中手骨々折判明後に調整を任せられてきた、ノーザンファーム空港R厩舎の佐々木淳吏厩舎長だった。
「トレセンのMRIで調べてみて、初めて分かったほどに特殊な箇所が骨折しており、牧場に戻ってきたばかりの頃は、いつ復帰の目処が立つかも分かりませんでした。一時は秋シーズンに復帰するプランもありましたが、骨折線が埋まるのに時間を要したことや、元々のポテンシャルが高い馬だけに、急がずにしっかりと治してから送り出すことになりました」
トレッドミルから騎乗調教へと移っていったシャケトラは、育成時から垣間見せていた能力の高さを、改めてその動きで表現するようになっていた。
「跨がってみると、改めてモノが違う馬だと思わされました。一昨年の秋シーズンは思うような結果が残せませんでしたが、この頃は歩様もあまり良くなかったようですし、それだけにいい状態で送り出せたのなら、本来のシャケトラの力を発揮出来るのではとも思っていました」
年明けの復帰を目指して、昨年の10月にノーザンファームしがらきへと移動。R厩舎では、最終目標である競馬に臨むための基礎とも言える、体力面をしっかりと培っていたシャケトラは、その後、角居厩舎に管理が受け渡されてからも、トラブルも無く調教が進められていく。
「シャケトラのような馬に対して自分たちが出来るのは、競馬へと繋がっていく土台作りだと思っています。その後はノーザンファームしがらき、角居厩舎と各セクションとの連携を取りながら、しっかりとやるべきことを行っていく。そのことに関しては、互いのことをよく分かっているだけに自信がありました」
しかしながら、その実感とレースの結果とはまた違ってくるのが競馬である。相手があることだけでなく、何よりも息の持ち方やレース勘が戻って来ないことで、長期休養明けの競走馬が幾度となく負けを繰り返し、そして、その負けは叩き台という言葉で表現されていた。
しかし、シャケトラにとってこのアメリカJCC(G2)は叩き台ではなく、復活の舞台となった。
「4コーナーを回ったとき、もしかしてと思いました。ただ、休養明けということで、そこで息切れしてしまうのでは…とも思ったのですが、そこから一生懸命に走ってくれた姿を見たときには、改めてシャケトラの強さを再確認しました」
まさに奇跡の重賞勝利。その復活の陰には佐々木厩舎長をはじめとする、R厩舎スタッフの力も大きかったのは間違いない。それでも佐々木厩舎長はノーザンファームしがらきや、角居調教師、そして厩舎スタッフへの感謝を口にする。
「牧場から送り出してからのシャケトラに関わってくださった皆さんが、いい調整を送らせてくれたことが、この勝利に繋がったのだと思います。改めてありがとうございますとお伝えしたいです」
次走への叩き台どころか、次走への期待を更に膨らませてくれたシャケトラ。陣営からは天皇賞(春)(G1)を目標に調整されていくことが発表されたが、そこでも更に強いレースをみせてくれるに違いない。
「まずは、無事に競馬を続けてもらいたいです。それでも、年齢を感じさせないほどに馬も若いですし、この先もG1戦線を沸かすようなレースを見せて欲しいとも思っています」