重賞ウィナーレポート

2018年10月14日 秋華賞 G1

2018年10月14日 京都競馬場 晴 良 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アーモンドアイ

プロフィール

生年月日
2015年03月10日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:6戦5勝
総収得賞金
1,519,563,000円
馬主
有限会社シルク
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
国枝 栄
騎手
C.ルメール

 第23回秋華賞(G1)。このレースを勝利すれば、史上5頭目の牝馬三冠制覇となるアーモンドアイがパドックを周回していく。その強さだけでなく、牝馬三冠を共に祝いたいというファンの心理も働いたのか、単勝オッズは1.3倍という圧倒的な支持となった。

 「前走よりプラス14㎏という馬体重でしたが、それほど太め感は無く、むしろ成長を遂げているようにも見受けられました」と話すのは、ノーザンファーム早来でアーモンドアイの育成調教を手がけた岡真治厩舎長。オークス(G1)以来のレースという異例のローテーションとなったこの秋華賞(G1)であるが、追い切りの調教で好時計をマークしていた一方で、岡厩舎長の元には、その数か月における調整の過程が、いい情報だけでなく、悪い情報としても入ってきていた。

 「順調さを欠いていた時期もあったようですし、爪の管理にも気を使っているとも聞いていました。でも、パドックを周回するアーモンドアイは、テンションの高さにも表れていたように、臨戦態勢にあるように見受けられました。その姿を見て、改めて国枝先生や、厩舎の皆さん、そして、中間を担当してくれたノーザンファーム天栄のスタッフに感謝していました」

 そのテンションの高さが裏目に出てしまったのか、スタートで後手を踏んだアーモンドアイは、後方からの追走を余儀無くされていく。単騎逃げの形となったミッキーチャームは、1000m通過を59秒6という絶妙のペースで後続を引っ張っていく。3コーナー、4コーナーを迎えても、その差は縮まっていかない。しかしながら、岡厩舎長はこの時点で勝利を確信していた。

 「この辺の動きを見て、『いつも通り』のアーモンドアイだと思いました。鞍上のルメール騎手も焦った印象は無かったですし、追い出しての一歩目でグイッと馬体が沈み込んだ時に、『いつも通り』に来てくれると思いました」

 『いつも通り』の脚は、規格外の末脚でもあった。勿論、上がり3ハロンの時計はメンバー最速となる33秒6。その末脚であっという間にミッキーチャームを交わしていくと、後から迫ってきたカンタービレも寄せ付けることなく、大歓声を受けながらゴール板を駆け抜けた。

 「ゴールの瞬間は、嬉しさよりもホッとしました。そのホッとした気持ちの中には、ゴールまで無事にアーモンドアイが走りきってくれたこともあります」

 そんな、岡厩舎長の元へ、ノーザンファーム早来の牝馬調教主任を務める日下和博氏や、時には同じレースで勝利を目指すライバルであり、そしてかけがえのない仲間でもある牧場のスタッフたちが、代る代る「おめでとう!」と言葉をかけ、そして握手を求めてきた。

 「そのことも嬉しかったですね。三冠牝馬を手がけたという実感はいまだにありませんが、それでも一生の思い出に残る馬だと思いますし、自分が接してきた中では、最も強い馬だとも思っています」とアーモンドアイを称える岡厩舎長。次走は初めての古馬、そして牡馬との戦いとなるジャパンカップ(G1)が予定されている。

 「どのレースでも、最後までしっかりと脚を使ってくれますし、今回のような競馬ができたのなら、相手も関係なく、いい結果を残してくれると思います」

 『最も強い馬』であることが、改めて証明されるレース。それはジャパンカップ(G1)となるのかもしれない。