重賞ウィナーレポート

2018年04月08日 ル・プランタン賞(GDJ)

2018年04月08日 佐賀競馬場 晴 稍重 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:マイメン

プロフィール

生年月日
2015年04月24日 03歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:11戦3勝
総収得賞金
10,563,000円
アッミラーレ
母 (母父)
ニシオノーブル  by  サッカーボーイ
馬主
原 大栄
生産者
ファーミングヤナキタ (門別)
調教師
東 眞市
騎手
山口 勲
  • マイメンの母ニシオノーブル(19歳)
    マイメンの母ニシオノーブル(19歳)
  • ニシオノーブルは現在、キングズベストの仔を受胎中
    ニシオノーブルは現在、キングズベストの仔を受胎中
  • マイメンの半妹(牝1歳、父ロジユニヴァース)
    マイメンの半妹(牝1歳、父ロジユニヴァース)
  • マイメンの生産者・柳北隆法さんとファーミングヤナキタの1歳馬たち
    マイメンの生産者・柳北隆法さんとファーミングヤナキタの1歳馬たち

 『グランダム・ジャパン2018』3歳シーズンの第3戦「ル・プランタン賞(佐賀)」を、3番人気のマイメンが快勝。兵庫から2頭、笠松から1頭、南関東からも1頭が遠征してきた一戦で果敢に先行し、地元馬の意地を示して見事に先頭でゴールを駆け抜けた。

 マイメンの生まれ故郷は、日高町平賀に牧場を構えるファーミングヤナキタ。過去には、2004年の報知オールスターカップ(川崎)で2着し、川崎記念(G1)にも出走(6着)したシュイベモアや、ホッカイドウ競馬所属馬として2009年のJRA芝オープン・すずらん賞(札幌)に挑戦し、3着に健闘したミサトサウスなどの活躍馬を生産。これまで何度も惜しい2着はあったものの、生産馬による重賞勝利は今回が初めてのことだった。「マイメンのレースはいつもインターネットで観ていますが、小さな体でよく頑張っていますね。JRAの芝レースに3回挑戦して結果が出ませんでしたが、地元の重賞を勝ってくれて本当に嬉しかったです」と話すのは、生産者の柳北隆法さん。もともとは獣医だったお父様が創業した牧場を受け継ぎ、現在は奥様と2人で13頭(預託含む)の繁殖牝馬とその仔たちの世話に明け暮れている。

 マイメンの母ニシオノーブルもファーミングヤナキタが生産したサッカーボーイ産駒で、遡ればウオッカやスペシャルウィーク、メイショウサムソンらと同じく小岩井農場が1907年に導入したフロリースカップにたどり着く由緒ある血統。現役時代はJRAの芝レースで3勝を挙げ、3歳時にはローズステークス(G2)で5着(優勝馬ファインモーション)し、秋華賞(G1)へも登録したが抽選もれで出走叶わなかったという経歴を持つ。「ニシオノーブルが繁殖として牧場に戻ってきた15年ほど前、ちょうど私も実家に戻って牧場の仕事をするようになったんです。現役時代は非常に気性のきつい馬だったそうですが、繁殖入りしてからは手が懸からず、子育てもしっかりとする優秀な母親になりました。ただ子宮が弱く、1年おきにしか受胎できない状況が今もつづいています」と母馬を紹介。「ニシオノーブルが潜在的に持つ気性の激しさは仔に受け継がれているようで、マイメンも体は小さいのにきつい性格をしていました。マイメンは5番仔に当たりますが、上の4頭はすべて牡馬で、うち3頭がせん馬になっていますからね(笑)」と苦笑いを浮かべる。

 そんなニシオノーブルにアッミラーレを交配した理由について伺うと、「ちょうどアッミラーレ産駒のハッピースプリントが大活躍をしている時期で、近くのブリーダーズ・スタリオン・ステーションで繋養されていたので配合してみることにしました。ニシオノーブルが芝の中距離で活躍した馬なので、スピード系の種牡馬を狙って交配するようにしています」と明かしてくれた。

 現在、牧場にはマイメンの半妹(牝1歳、父ロジユニヴァース)が健やかに育っており、同期の1歳馬たちと元気に放牧地を駆けまわっている。また母ニシオノーブルは昨年不受胎だったが、今年は無事にキングズベストの仔を受胎したそうだ。「いまの1歳もそうですが、サンデーサイレンス系を配合するとどうしても細身な仔が生まれるようなので、今年は非サンデー系の種牡馬を交配しました。母の長所を受け継ぎ、芝のレースで活躍できるような仔が生まれてくるのを期待しています」とお腹の仔に夢を託す。

 「マイメンにはこれからも無事に怪我なく競走生活を送ってほしいと思います。そして、もう1つでも2つでも重賞を勝ってくれると嬉しいですね。その後、牧場に戻って血をつないでいってくれたら最高です」と、遠く九州の地で頑張る愛馬にエールを送る柳北さん。100年以上前に輸入された牝馬の優秀な血は、今もこうして日高の牧場で脈々と受け継がれている。