2018年05月27日 九州ダービー栄城賞(DS2018)
優勝馬:スーパージェット
プロフィール
- 生年月日
- 2015年06月18日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:19戦5勝
- 総収得賞金
- 19,475,000円
- 父
- カネヒキリ
- 母 (母父)
- グリーンプラネット by ダンシングブレーヴ(USA)
- 馬主
- (同) JPN技研
- 生産者
- 隆栄牧場 (新冠)
- 調教師
- 九日 俊光
- 騎手
- 田中 純
福永祐一騎手が悲願のダービージョッキーとなって競馬ファンの熱気が最高潮に達した約2時間半後、地方競馬の「ダービーシリーズ」が開幕。その皮切りとなった「九州ダービー 栄城賞(佐賀)」を、3番人気のスーパージェットが優勝。スタートでダッシュがつかずに後方からの競馬となったが、3~4コーナーで大外をまくり切り、直線入り口では先頭に。1度は内からベルセルクに並ばれたが、二の脚を使って栄光のゴールを真っ先に駆け抜けた。
スーパージェットの生まれ故郷は、新冠町の隆栄(たかえ)牧場。100年以上の歴史がある老舗牧場で、古くは1974年の桜花賞馬タカエノカオリや、1982年の朝日杯3歳ステークス優勝馬ニシノスキーなどを生産。そして今年5月のNHKマイルカップ(G1)を、生産馬のケイアイノーテックが制覇。同じ年に同じ牧場で産声をあげた2頭が、同じ月に中央G1と地方のダービーを制するという快挙をやってのけた。
「九州ダービー栄城賞の日は、Aibaで単勝馬券を買ってスーパージェットの応援をしていました。スーパージェットはもともと自分の名義で競馬をしていた馬なので、兵庫や佐賀に移籍したあとも気にして見ていたんです。ホッカイドウ競馬時代は1勝しかできませんでしたが、立派に成長してダービー馬となったのは本当に喜ばしいことです」と話すのは、隆栄牧場の代表・飛渡隆さん。2歳6月のデビューから8月末までホッカイドウ競馬に所属して6戦を戦ったのち、兵庫へ移籍して3勝を挙げ、今春に佐賀・九日俊光厩舎へ転厩。移籍3戦目で、見事に九州3歳馬の頂点に立った。「関西や九州の水がよほど合ったんですかね(笑)」と飛渡さんは笑顔を見せる。
スーパージェットの母グリーンプラネットは、凱旋門賞馬ダンシングブレーヴ産駒。4歳下の半弟に2004年の高松宮記念(G1)優勝馬サニングデールがいる血統で、自身も2001年の中山牝馬S(G3)で2着するなど、JRAで7勝を挙げた活躍馬だった。2002年から繁殖生活を始め、初仔のウルトラボルケーノ(牡、父ダンスインザダーク、出口牧場生産)がJRA2勝、地方で3勝の通算5勝、3番仔のアウロラプラネット(牝、父アグネスタキオン、出口牧場生産)が読売レディス杯(金沢)を制するなど、優秀な産駒をつづけて輩出。2005年に隆栄牧場で繋養されるようになってからも、その産駒は兵庫、岩手、佐賀などの各地方競馬で活躍を見せている。その10番仔となるスーパージェットは、1歳秋まで隆栄牧場で昼夜放牧されながら健やかに育っていった。「ケイアイノーテックの母ケーアイガーベラが生まれた頃から当歳馬の昼夜放牧を始めました。サラブレッドはもともと臆病な動物ですから、夜間に放牧すると一晩中動き回るんですね。その効果で自然に腱が鍛えられ、逞しく育つ馬が多くなったように感じています。またそれが、競走馬となってからの精神力の強さにつながっているのかもしれませんね」と話す。ケイアイノーテックがNHKマイルカップ(G1)で見せた驚異的な末脚や、スーパージェットがゴール前でもうひと伸びした踏ん張りは、まさに幼少期の昼夜放牧で育まれた精神力の賜物といえるだろう。
スーパージェットは、ダート競馬の一時代を築いたカネヒキリの4年目産駒。カネヒキリはわずか6年の種牡馬生活でこの世を去ってしまったが、初年度産駒のミツバが昨年のマーキュリーカップ(Jpn3)に優勝。2年目産駒のロンドンタウンが昨年の佐賀記念(Jpn3)とエルムステークス(G3)を制覇。3年目産駒のディオスコリダーは昨年のカペラステークス(G3)を制するなど、2017年はダート競馬で各世代のカネヒキリ産駒が大活躍。今年に入ってもスーパージェットと同期の4年目産駒テーオーエナジーが兵庫チャンピオンシップ(Jpn2)を制し、3歳ダート路線の主役を張っている。その交配理由について伺うと、「同じ町内にある優駿スタリオンステーションのスタッフが繁殖牝馬に合う配合をいっしょに考えてくれるのですが、グリーンプラネットの交配相手候補としてカネヒキリの名前があったので配合してみることにしました。翌年生まれてきたスーパージェットの体型を見て、配合がうまくいった感触がありました」と明かしてくれた。
「九州のダービー馬として胸を張り、これからも末永く頑張ってほしいですね。生まれ故郷の北海道から、その活躍を見守っています」とエールを送る飛渡さん。ケイアイノーテックといっしょに幼少期を過ごした九州ダービー馬の、さらなる飛躍に期待しよう。