重賞ウィナーレポート

2018年02月04日 きさらぎ賞 G3

2018年02月04日 京都競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:サトノフェイバー

プロフィール

生年月日
2015年04月08日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
111,919,000円
ゼンノロブロイ
母 (母父)
ヴィヴァシャスヴィヴィアン(USA)  by  Distorted Humor(USA)
馬主
(株) サトミホースカンパニー
生産者
フジワラフアーム (静内)
調教師
南井 克巳
騎手
古川 吉洋
  • 活き活きとした笑顔で対応して下さった繁殖スタッフの大内さん、梅原さん、茂木さんと(右から)ヴィヴァシャスヴィヴィアン
    活き活きとした笑顔で対応して下さった繁殖スタッフの大内さん、梅原さん、茂木さんと(右から)ヴィヴァシャスヴィヴィアン
  • 無駄なことをせず、じっとポーズを決めてくれる母ヴィヴァシャスヴィヴィアン 
    無駄なことをせず、じっとポーズを決めてくれる母ヴィヴァシャスヴィヴィアン 
  • 放牧地。福島牝馬S(G3)を連覇したオールザットジャズも一緒の放牧地で過ごしている
    放牧地。福島牝馬S(G3)を連覇したオールザットジャズも一緒の放牧地で過ごしている
  • 本場の厩舎。例年にない積雪量となっている今シーズンの日高地方。牧場は除雪作業に追われる。
    本場の厩舎。例年にない積雪量となっている今シーズンの日高地方。牧場は除雪作業に追われる。
  • 本場の看板
    本場の看板

 出走馬の中からサトノダイヤモンド、ネオユニヴァース、メイショウサムソン、オルフェーヴルなど、後々のクラシック勝ち馬を送り出している3歳重賞レースきさらぎ賞((G3)、芝1800m)が2月4日に京都競馬場で行われ、4番人気のサトノフェイバーが優勝。キャリア1戦馬のジンクスを見事打ち破り、逃げ切り勝ちをおさめた。

 サトノフェイバーの故郷は、新ひだか町を中心に本場・分場・育成場を保有する(有)フジワラファーム。自宅でレースを観戦していた藤原俊哉代表取締役は「調子が良いと聞いていたので良いレースをしてくれるのではないかと、楽しみにしていました」と話す。その期待どおりに愛馬は上手いスタートで自然と先頭に立ちレースを進める。「大型馬ですけど、精神的に大人で、コントロールし易い馬なので先行すると思っていました」。ゴール前は、2番手につけていたグローリーヴェイズが迫り、ハナ差の決着となったが「1着でも2着でもああいう競馬ができたのは良かったので、けっこう冷静に見ていました。勝てて嬉しかったです。オーナーも喜んでいました。調教師は着差以上に強く、まだ力を出し切っていないと言っていました。」と藤原代表はにこやかな表情を見せた。管理する南井調教師は、当牧場生産馬ウイングアローで騎手時代に重賞を制覇、そして調教師としてG1競走に勝ったほかメイショウスミトモ(シリウスS(G3))などの管理トレーナーとして喜びを分かち合っている。「そういうご縁もあって南井調教師の管理馬で勝てた喜びは大きいです」。

 サトノフェイバーは、全兄となるサトノロブロイ(福寿草特別、京都2歳S3着)がバランスの良い馬体で生まれたことから、再度ゼンノロブロイが配合され誕生。2歳の8月末までを牧場で過ごす。順調に育ち2歳春には15-15を乗っていたが、奥手なタイプの兄姉同様に成長を待ってから入厩した。幼少期について「誰が見ても良い馬で期待をしていました。大柄な点だけは気をつけていましたが、全く手がかからず困ったことがありませんでした。」と藤原代表。

 牧場では「ヴィヴァ」と呼ばれている母ヴィヴァシャスヴィヴィアンは、キーンランドのせりで購入してきた。優秀な繁殖牝馬で、毎年出産し、産駒のほとんどがJRAで勝ち上がっている。藤原代表は「日本のサンデー系と合う血統に魅力を感じました。母父のDistorted Humorは短距離馬らしい体型をしていますが、この馬はスラッとしている点が良かったです。」と導入経緯を話す。性格については繁殖スタッフが揃って「ここまで大人しい繁殖はうちでは珍しいかもしれません。放牧地ではボスではないけど弱くもない。ケンカにも加わらないですよ」と話すように、賢く子育ても上手なようだ。

 今後のサトノフェイバーは、スプリングS(G2)からクラシック皐月賞(G1)出走を予定だそうだ。「中山はこの馬に合いそうだと思っています。2戦しかしていませんから、勝ち負けは別にして順調に良いレースをしてくれればと思います。昨年は生産馬レーヌミノルが桜花賞(G1)を勝ってくれたので、今年は牡馬でクラシックをとってもらうのが夢ですね。」と控えめに語る藤原代表が見せた笑顔の中には力強い眼差しがあった。

 (有)フジワラファームの生産馬は、先のレーヌミノルをはじめ先月の愛知杯(G3)を制したエテルナミノル、メイショウスミトモ、マイティティーなど昨年からの重賞勝ち馬だけでも続々と馬名が挙がる。近年の好調ぶりに「できすぎですね(笑)」と控えめな藤原代表。「特別なことは何もしていないです。現場のスタッフが充実してきているおかげです」と話すように、30名程いる中で10年以上勤務している中間層のスタッフの割合が多いという。スタッフの自主性と共に大切にしていることは「当たり前だけど、馬をけなさず声をかけること」だそうだ。「熱意や想いは馬に伝わると思うんです」藤原代表の想いが大舞台へ届くことだろう。