2018年01月13日 愛知杯 G3
優勝馬:エテルナミノル
プロフィール
- 生年月日
- 2013年05月24日 05歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:19戦6勝
- 総収得賞金
- 141,142,000円
- 母 (母父)
- ダイワジェラート by フジキセキ
- 馬主
- 吉岡 實
- 生産者
- フジワラフアーム (静内)
- 調教師
- 本田 優
- 騎手
- 四位 洋文
中京競馬場で行われた牝馬重賞・愛知杯はエテルナミノルが優勝。待望の重賞初制覇を飾った。
本馬の生産は、新ひだか町のフジワラファーム。新ひだか町静内御園に本場を構え、町内に分場、新冠町に育成・現役馬休養の牧場を持つ。昨年は生産馬レーヌミノルによる桜花賞(G1)制覇をはじめ、メイショウスミトモが名古屋グランプリ(Jpn2)とシリウスS(G3)、マイティティーがブリーダーズゴールドカップ(Jpn3)を優勝。2014年以降、生産牧場ランキングでは順位を上げ、上位の大手牧場に迫っている。
レース当日、同牧場の藤原俊哉社長は、自宅で声援を送っていたという。「前走は出遅れながらも差のない内容でしたからね。今回は人気こそ落としていましたが、チャンスがあると思って見ていました。スタートを決めて、道中はスムーズでしたし、直線で抜け出した時は応援に力が入りましたよ。当歳時から素質を感じていて、自信を持っていた馬なので、期待通り重賞馬となって本当に嬉しいです」と、喜びを語る。
本馬は父エンパイアメーカー、母ダイワジェラート、母の父フジキセキ。2代母ビューティメイクは新潟記念(G3)3着の実績がある。本馬は、母の3番子として誕生した。牧場時代については、「生まれたときから良い馬だなぁと思わせる馬でしたね。母に似て、やや小柄でしたが、将来大きく成長すれば、楽しみな馬になると期待していました。ダート系の父の血を引いていますが、動きは柔らかいので、芝適性も高いのではと感じていました。性格は素直で、扱いやすいタイプでした。遅生まれでもあり、急かせずにじっくりと育成していきました」と、振り返る。同牧場で一貫して生産~育成まで過ごし、栗東・本田優厩舎へと巣立った。
母ダイワジェラートは健在で、3歳に父ルーラーシップの牝馬(競走馬名・ミアグア)、1歳に父ダンカークの牝馬がいる。現在はロードカナロアの子を受胎している。それぞれ勢いのある種牡馬とのカップリングだけに、今後も逸材登場となるかもしれない。
父のエンパイアメーカーは、藤原社長自身が期待を寄せた種牡馬だったという。「米国でエンパイアメーカーを見て、素晴らしい馬だなと感じました。馬格があって、配合もしやすい血統なので、将来はこういう馬を交配してみたいと思いました。日本で繋養されることになり、牧場の繁殖牝馬との交配には、かなり力を入れていた一頭です」と、父馬への思い入れも深かった。
コツコツと勝ち星を重ね、いよいよ重賞タイトルを手にした本馬。昨年のエリザベス女王杯(G1)では苦杯をなめたが、遅咲きの牝馬として頭角を現し、今季は牝馬戦線の有力馬となるだろう。藤原社長は、「息長く、丈夫に走ってくれてありがたいです。昨年夏に牧場に休養に来てから、また馬が大きくなりましたね。マイル~中距離は実力を発揮できる条件だと思いますし、また牝馬G1を狙って欲しいです。大観衆の前で生産馬が走るときのドキドキ感は、生産者だからこそ味わえるものだし、また牧場みんなで応援できたら嬉しいです」と、声を弾ませる。G1では、牧場が生んだ桜の女王・レーヌミノルとの2頭出しも、あり得るだろう。
気さくに取材に応じていただいた藤原社長には、思い切ってこのような質問をしてみた。「フジワラファームの生産馬は、多種多彩な種牡馬の子で、重賞勝ち馬を連発しているという印象があります。とりわけ、リーディング上位ではない種牡馬の子でも、何度と好結果を出すことは、難しいことだと想像しますが、何か理由があるのでしょうか」
すると、「特別なことをしているわけではないですよ。高額な種牡馬ばかりを配合できませんからね。配合はよく考えていますが、運が良かったと思っています。馬づくりで大事にしていることは、馬をけなさないこと、馬を信じること、ですね」と、静かに回答があった。
また、人材不足に悩む馬産地において、同牧場はスタッフの定着率が高く、人材力も大きな武器となっている。藤原社長は、「そうですね。おかげさまで、スタッフは揃っています。基本的に現場では、私があれこれと細かく指示をすることはなくて、スタッフの考えや自主性を大事にしています。もちろん、スタッフ同士で意見が合わない時もありますから、問題があれば、私も対応に力を尽くします。スタッフの働きやすさだとか、やる気を高められるような仕事環境は、強く意識していますね」
そうした牧場づくりも、優秀な馬が続々と生まれ巣立っている背景として、ぜひとも記しておきたい。