重賞ウィナーレポート

2017年04月09日 桜花賞 G1

2017年04月09日 阪神競馬場 曇 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:レーヌミノル

プロフィール

生年月日
2014年04月24日 03歳
性別/毛色
牝/栗毛
戦績
国内:7戦3勝
総収得賞金
230,091,000円
ダイワメジャー
母 (母父)
ダイワエンジェル  by  タイキシャトル(USA)
馬主
吉岡 實
生産者
フジワラフアーム (静内)
調教師
本田 優
騎手
池添 謙一
  • レース後、万歳で勝利を喜ぶ牧場の皆さん
    レース後、万歳で勝利を喜ぶ牧場の皆さん
  • 藤原俊哉社長も入っての口取り
    藤原俊哉社長も入っての口取り
  • 向かって左端が藤原俊哉社長
    向かって左端が藤原俊哉社長
  • レーヌミノルの母ダイワエンジェル
    レーヌミノルの母ダイワエンジェル
  • 昨年の「北海道馬産地見学ガイドツアー」で展示馬となっていた
    昨年の「北海道馬産地見学ガイドツアー」で展示馬となっていた

 牝馬クラシック第1弾、桜花賞(G1)はレーヌミノルが早め先頭から押し切って快勝。近走惜敗の悔しさを晴らし、ハイレベルと言われている今年の牝馬世代で栄冠を手にした。

 本馬の生産は新ひだか町静内のフジワラファーム。静内の御園に本場があり、桜の名所・二十間道路からも近い。他に、静内豊畑に分場があり、新冠町の万世に育成・休養馬の施設を構える。これまでにウイングアローやイイデケンシン、サウンドスカイといったダート・チャンピオンをはじめ、近年ではオールザットジャズやアクティブミノル、アンバルブライベンといった生産馬が活躍している。繁殖牝馬は約60頭で、約20人のスタッフが汗を流している。

 レース当日、同牧場の藤原俊哉社長は阪神競馬場で観戦し、牧場の各拠点ではスタッフが集まって声援を送っていた。ファンファーレが鳴ってレースが始まり、最後の直線で本馬が先頭に立つと、牧場も一気に熱気に包まれ、「行けー!」「粘れー!」という声がこだました。そのうちの一人、繁殖スタッフの伊東正和さんの言葉から、その様子を浮かべたい。

 「勝ち負けを意識していましたし、スタッフで応援馬券を買って見ていました。スタートから完璧なレース運びで、これは本当に勝てるかもしれないと思い、直線は絶叫しましたね。近所に聞こえたのではないかというぐらい叫びました。すぐ後ろに相当強いライバルが迫っていましたし、直線が長く感じました。ゴールした後はほとんどのスタッフが泣いて喜んでいました」

 レース後まもなく、新ひだか町の酒井芳秀町長や地元・JAしずないの西村和夫組合長、近隣の牧場主が集まり、スタッフとともに万歳で勝利を祝った。伊東さんも誇らしく両手を上げた。

 本馬は父ダイワメジャー、母ダイワエンジェル、母の父タイキシャトルという血統。この牝系と同牧場との縁は4代母ヤマトタチバナまで遡り、40年以上に及ぶ。ダイワメジャーとの配合はこだわりの配合で、母馬は2010年から5年連続で交配し、出産。その5年目に誕生したのが本馬だった。同配合で2頭、3頭なら驚かないが、5頭ということは珍しく、この配合に対する執念や自信を感じさせる。牧場時代については、「この配合で生まれた子たちは、目立って良い馬ばかりでした。レーヌミノルはそうした全姉4頭を更に上回るデキで、当歳時からかなり自信がありました。顔の感じは母馬に似て、めんこい(=かわいらしい)馬でしたね。従順な気性で、スピードは父からの遺伝が大きいと思います。子出しの良い母馬なので、レーヌミノルも牝馬にしては馬格がありました」と、伊東さんは振り返る。

 母ダイワエンジェルは健在で、2歳には父ハードスパンの牡馬、1歳には父ダンカークの牝馬が誕生している。少し余談となるが、昨秋実施した「競走馬のふるさと案内所」企画・運営の「北海道馬産地見学ガイドツアー」では、同牧場が訪問地に入っており、参加者一行は後に“クラシックホースの母”となるダイワエンジェルを見学している。この時のダイワエンジェルのように、今度は娘が阪神競馬場でおびただしい数のカメラを向けられることになった。

 ここ数年、フジワラファームは生産牧場ランキングで順位を上げ、大規模牧場が上位をひしめく中で、今年はベスト10入りを争っている。本馬をはじめ、実績をあげたアクティブミノル、アンバルブライベン、サウンドスカイらは生産から中期育成、馴致、後期育成に至るまで同牧場で担い、送り出した馬たちで、同牧場の一貫した馬づくりが、好調の重要な要因かもしれない。桜の女王誕生で、ますますフジワラファームの攻勢が盛り上がる。伊東さんたちが声を枯らすような生産馬の奮闘は、これからも続くだろう。

 「レーヌミノルは次走、オークス(G1)も期待していますし、今後も無事に走ってきて欲しいです。距離もこなしてくれると思っています。大きなタイトルを獲って、お世話になっている方々に恩返しできればと思います。私自身は16年間、この牧場にお世話になっていますが、ウイングアローの時はまだ働いていなかったので、今回クラシックホースに出会えたことが本当に嬉しいです。社長はスタッフに対する信頼が厚く、スタッフそれぞれが考えながら、どの馬も競走馬として恥ずかしくないように手がけています。チームワークを生かして、生産から育成まで、同じ牧場で出来る強みを発揮できるように仕事をしています。配合は社長が8代までさかのぼって練っているので、そうした配合の策も実っているのだと思います」