2017年03月16日 若草賞(GDJ)
優勝馬:タッチスプリント
プロフィール
- 生年月日
- 2014年04月12日 03歳
- 性別/毛色
- 牝/青毛
- 戦績
- 国内:12戦3勝
- 総収得賞金
- 11,308,000円
- 母 (母父)
- タッチノネガイ by フレンチデピュティ(USA)
- 馬主
- 酒井 孝敏
- 生産者
- 門別 正 (門別)
- 調教師
- 別府 真司
- 騎手
- 倉兼 育康
『グランダム・ジャパン2017』3歳シーズンの開幕戦「若草賞(名古屋)」を、高知からの遠征馬タッチスプリントが快勝。最後方追走から目の覚めるような直線一気で他の11頭をごぼう抜きし、2歳6月の門別デビューから12戦目にして嬉しい重賞初勝利を飾った。
タッチスプリントの生産者は、門別競馬場のすぐ傍に牧場を構える門別正さん。戦前から軍馬の生産をしていた歴史ある牧場で、アラブの時代を経てサラブレッド生産へ移行し、正さんが2代目場主となる。現在は娘さんと2人で、自己所有の繁殖牝馬2頭と預託馬6頭を管理している。
「その日は門別競馬場へ2歳馬の能検を見に行っていたのですが、レースの時間には自宅へ戻ってテレビで応援していたんです。すると、外から凄い脚を使って矢のように飛んできたのでビックリしました」と重賞制覇の喜びを振り返る。高知へ移籍したあとに体重が減りつづけていたことを気にかけていた矢先の勝利だったそうだ。「門別で走っていた頃は450キロ近くあった体重が、出走するごとに体重を減らし、JRAへ遠征した前走は400キロを切っちゃいましたからね。環境が変わったことに対応できていないんじゃないかと心配していたのですが、若草賞にはプラス13キロで出てきたので少しホッとしました」と当時の心境を明かす。
タッチスプリントは母タッチノネガイの4番仔として生まれたが、5歳上の半姉には地方重賞を4勝し、8歳になった現在も全国のダートグレード競走に挑戦しつづけているタッチデュールがいる。「タッチデュールはファンの多い馬なので、その妹として応援してくれる人もいるようです。先日も『おかげで馬券が獲れました』とお礼を言われましたよ(笑)」と、ファンとの微笑ましいエピソードを話してくれた。ちなみにタッチデュールという馬名は、1980年代に南関東の重賞を3勝するなどの活躍をみせた生産所有馬・デュールスワローから“デュール”の文字を取って命名したそうだ。
タッチスプリントの父は、2006年の小倉記念(G3)に優勝し、同年の天皇賞(秋)(G1)でダイワメジャーの2着した実績もあるスウィフトカレント。その配合理由について伺うと、「サンデーサイレンス系の種牡馬とは相性が良いと思いましたので、その中でもダート適性がありそうな種牡馬としてスウィフトカレントを選びました。種付料がリーズナブルだったのも大きいですけどね(笑)」と笑顔を見せる。
「2頭の母タッチノネガイは今年で15歳になりました。体もそれほど大きくはなく、人間には従順で手を焼かせるようなことはないのですが、馬には強くて放牧地では常にボスとして威張っています(笑)。ここ2年不受胎がつづいていますが、今年はなんとか受胎してほしいですね。サムライハートを配合する予定です」と、2頭の重賞馬を送り出した優秀な母を紹介してくれた。
「グランダム・ジャパンシリーズでは、姉のタッチデュールが2歳時に総合3位、5歳時に総合2位と、あと一歩チャンピオンに届いていないんです。ですからタッチスプリントには姉の無念を晴らし、なんとか3歳シーズンの女王を勝ち獲ってほしいですね。チャンスはあると思いますし、遠い北海道の地から応援しています」と愛馬にエールを送る。奇しくも母に名づけた“ネガイ”という言葉。10年以上の時を経て、その思いは仔に託された。