2017年01月08日 シンザン記念 G3
優勝馬:キョウヘイ
プロフィール
- 生年月日
- 2014年04月22日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦2勝
- 総収得賞金
- 120,401,000円
- 馬主
- 瀬谷 隆雄
- 生産者
- 本桐牧場 (三石)
- 調教師
- 宮本 博
- 騎手
- 高倉 稜
1月8日真冬の雨の中、京都競馬場で行われた第51回日刊スポーツ賞シンザン記念(G3)は最後方待機していたキョウヘイが3コーナー過ぎでポジションを上げ、重馬場で他馬の脚色が鈍る中でただ1頭、直線で鋭い末脚を炸裂し馬群を突き抜けて重賞初制覇、3歳世代が初年度産駒となる父リーチザクラウンにJRA重賞初タイトルを贈った。
キョウヘイは父リーチザクラウン、母ショウナンアネーロ、母の父ダンスインザダークという血統。本馬を生産した新ひだか町にある本桐牧場は大正8年創業という老舗の競走馬生産育成牧場で、これまで生産した活躍馬はオーハヤブサ(1962年 オークス)、メジロタイヨウ(1969年 天皇賞(秋))、ヤマニンモアー(1961 年 天皇賞(春))、そして昨年11月27日に行われた京阪杯(G3)に勝利したネロなどがいる。
ネロの重賞初制覇に続く重賞勝利に同牧場社長長井恵さんは「両馬の活躍に牧場スタッフも沸き立ちました。盆と正月が一緒に来た感じです、こういうことがあるのですね。淀の雨とは相性が良いようです。馬に携わっていると色々な事がありますがこういう喜びも与えてもらえるのでまた頑張れるねと、皆と話していました。親しみを持てる名前のおかげで多くのファンの方からもお祝いの言葉やエピソードを聞かせて頂きました。」と喜びに溢れ、牧場事務所は贈られたお祝いの花や品物の数々に包まれていた。
繁殖責任者の茂木俊紀さんは牧場で応援していたそうだ。「最後には脚を使ってくれるレースになるだろうと予想しながら観ていました。今までは本牧場の生産馬が出るレースは冷静に観戦できていたのですが、キョウヘイに関しては、最後の直線では思わず「行け!!」と声が出ました。15頭中一番小さかったにも関わらずまさか重賞初勝利を達成するなんて。生まれた時から携わってきた馬がこうやって活躍する姿を見られるというのは良いものですね。いつも頑張って一生懸命走っているのは見ていてわかります。良く頑張ったねと声をかけてあげたいです。」と弾ける笑顔でその嬉しさを表現してくれた。
当歳の頃の日常を事細かく記録したノートを見ながら当時を振り返ってくれた茂木さん。「生まれた時は56キロで見た目も大きく生まれて来ました。病歴も怪我もなく手がかからず、元気に順調に育って行きました。馬体は薄めでしたが線が綺麗な馬でした。」そしてこんなエピソードも教えてくれた。「種付けは当初はローエングリンの予定でしたがちょうど種付け中止の時期であったため西山茂行オーナーに相談したところリーチザクラウンにしようかという事になって。配合が上手く行きましたね。」この話には長井社長も懐かしい感激があったようでその素敵な巡りあわせに笑顔がこぼれた。
本桐牧場では現在繁殖牝馬22頭、1歳16頭、出産を控えた牝馬15頭を10名のスタッフが丹精込めて世話をしている。生産に対するこだわりは餌の工夫や、放牧地をまめに掃除刈りすること。そしてこの先携わってくれる方々に迷惑かけない扱いやすい馬になるように、基本的な事をできるよう馴致に取り組み日々触ることだと長井社長は言う。「当歳馬の脚を水で洗う事も早い時期から取り組み、調教師さんや牧場を訪れた競走馬関係者にも驚かれ、また喜ばれています。」
とても大人しくて可愛い繁殖だとスタッフに愛されているショウナンアネーロの産駒の共通点、それは「基本大人しいがやるときはやるタイプ」初仔ビームライフルは中央で3勝、地方でも活躍中。「2歳父エイシンフラッシュのデビューが待ち遠しいです。1歳父ベーカバドは今までの産駒とはタイプが違って馬体に幅があるので成長が楽しみです。」
たくさんの人の色々な思いを力に、自慢の末脚でひるむことなくさらなる夢に向かって走り続けるキョウヘイの活躍に期待したい。