2016年11月28日 プリンセスC(中央認定)(GDJ)
優勝馬:スターインパルス
プロフィール
- 生年月日
- 2014年04月14日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:7戦4勝
- 総収得賞金
- 40,155,000円
- 母 (母父)
- コパノジャーノー by エリシオ(FR)
- 馬主
- 坂本 順子
- 生産者
- 西村 和夫 (静内)
- 調教師
- 小久保 智
- 騎手
- 吉原 寛人
『グランダム・ジャパン2016』2歳シーズンの第6戦「プリンセスカップ(水沢1400m)」を、浦和からの遠征馬スターインパルスが快勝。好スタートからすんなりハナを奪うと、北海道からの遠征馬オルディルとともに後続を引き離して逃げ、最後の直線では他馬を置き去りにしてまさに独走態勢。後方から脚を伸ばしたメドゥシアナに5馬身の差をつける圧勝で、初重賞のタイトルを手中にした。
スターインパルスの生まれ故郷は、新ひだか町静内に本場、新冠町西泊津に分場を構える西村牧場。もともとは洞爺で羊を飼う綿羊農家だったが、昭和19年に発生した昭和新山の噴火をきっかけに現在の本場がある土地へと移転。昭和25年からアラブを中心とした競走馬の生産を兼業で始め、代を経て現在のサラブレッド生産一本の体制へと転換していった。アラブを生産していた時代には、JRA賞最優秀アラブを3年連続で受賞したアキヒロホマレなどの活躍馬を生産。近年では、アネモネステークスを制して桜花賞(Jpn1)、オークス(Jpn1)へも駒を進めたツーデイズノーチスや、JBCレディスクラシック(Jpn1)で3着した実績のあるキモンレッドなどを送り出している。
「前走のローレル賞(3着)はJBC当日ということもあって現地(川崎)で応援していたのですが、今回は北海道を離れることができずにテレビ観戦でした。遠征で体重が減っていたのを少し心配しましたが、強い勝ち方でしたね」とレースを振り返るのは、西村牧場の3代目・西村和夫さん。西村さんは牧場の代表を務める一方で、しずない農業協同組合の代表理事組合長を兼任し、全国各地を飛び回りながら日高地区の農業発展のために尽力する多忙な日々を送っている。
「この血統はだいたい大型のがっちりした仔が出るのですが、その年に限ってなぜか小ぶりの仔が生まれたんですよ。父サウスヴィグラスの全兄姉も見てきたのですが、まったく違うタイプの仔が生まれたので不思議に思っていたんですよね」とスターインパルスが生まれた当時のことを話す。「1歳の5月から昼夜放牧を始め、夏頃から馬がすごく良くなったんです。その後、育成のために浦河町の山口ステーブルへ移動したのですが、そこでの動きも良く、調教を見に行ったオーナーも喜んでおられました」と、その成長過程を教えてくれた。
スターインパルスの母コパノジャーノーは現役時代、ホッカイドウ競馬で7戦して2着3回、3着4回とあと一歩勝利には届かなかったが、生まれ故郷のヤナガワ牧場へ戻って繁殖入り。2頭の産駒を生んだのち、縁あって西村牧場で繋養されることになった。「母のコパノジャーノーは首の力がとても強い馬で、気性もきついところがあります。それが産駒にも伝わり、ダートの短距離競馬に向いているのかもしれませんね」と分析。「ヤナガワ牧場さんで生まれた初仔(タイヨウガデテキタ)がサウスヴィグラス産駒だったのですが、南関東で7勝を挙げ、当時の船橋1000mのレコードを出すほどのスピード馬だったんですよ。その印象が強かったこともあり、再びサウスヴィグラスを交配して生まれたのがスターインパルスでした」と配合理由についても話してくれた。そのタイヨウガデテキタは現役引退後、西村牧場で繋養されることになり、現在は母娘揃って繁殖生活を送っている。
また新冠町西泊津の分場には、スターインパルスの半妹にあたる当歳馬が離乳を終え、同期の馬たちとともに放牧地を元気に駆け回っている。「当歳はグランプリボス産駒ですが、評判はすごく良いです。サクラバクシンオーからつながるスピード能力に期待して交配しました」と妹を紹介。さらにコパノジャーノーのお腹にはエスポワールシチーの仔が宿っており、こちらの誕生も待ち遠しいと西村さんは話す。
「スターインパルスもこれからまだまだ成長し、活躍してくれることと思います。そして将来は牧場へ戻り、母や姉とともに優秀な血をつないでいってくれると嬉しいですね」と未来へ夢を膨らませる。まず目指すは大晦日、「東京2歳優駿牝馬(大井)」の結果に懸かる『グランダム・ジャパン』2歳女王の座。そして来年の南関東牝馬クラシックへと順調に駒を進め、スターへの道を一歩ずつ駆けあがっていってほしい。