重賞ウィナーレポート

2016年12月03日 ステイヤーズS G2

2016年12月03日 中山競馬場 曇 良 芝 3600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アルバート

プロフィール

生年月日
2011年02月07日 05歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:21戦7勝
総収得賞金
401,394,000円
アドマイヤドン
母 (母父)
フォルクローレ  by  ダンスインザダーク
馬主
林 正道
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
堀 宣行
騎手
R.ムーア

   アルゼンチン共和国杯(G2)を制したシュヴァルグランだけでなく、2着のアルバート、3着ヴォルシェーブもノーザンファームの生産馬であり、そして早来牧場の林厩舎で育成されていたことは、そのシュヴァルグランが勝利して判明した事実である。

   そして、ステイヤーズS(G2)ではアルバートが見事に勝利。同日に行われた金鯱賞(G2)でもヴォルシェーブが1番人気の支持を集めるなど、古馬の中長距離重賞戦線を林厩舎育成馬が沸かせている。

   「レース前は連覇できるのだろうかとも思っていましたが、昨年以上と言える強いレースを見せてくれました」と林宏樹調教主任は笑顔を浮かべる。

   林調教主任が連覇に僅かながらでも不安を持った理由。それはアルバートの気性が、父であり、育成も手がけたアドマイヤドンに起因していることを誰よりも知っていたからだった。

   「アドマイヤドンはマイルでもG1を勝利しているように、自らハミを取って行くような前向きな気性をした馬でした。アルバートもその気性が遺伝されており、今でもステイヤーという感覚はありません」

   しかし、アドマイヤドンとは違って、アルバートは走りたい気持ちを前面に押し出しながらも、人の指示を待つ従順さも持ち合わせていた。牧場でも調教駆けする馬ではあったが、それでも併せ馬をすると引っかかるような素振りを見せることは無かった。

    「天皇賞・春(G1)の後に牧場での調整を行うことになりましたが、太りやすい馬ということで、馬体の調整には気を使ってきました。他の調整に来ていた馬より倍は運動をさせたり、調教の後の並足も長めに行ってきました」

   まさに父アドマイヤドンだけでなく、その子であるアルバートの特徴も掴んでいるからこその調整。その調整の課程を堀宣行調教師、そして、橋本篤典調教助手とも連絡を取っていく中で、アルゼンチン共和国(G2)からの始動が決まった。林調教主任からバトンタッチをされた堀厩舎もまた、休養明けのアルゼンチン共和国杯(G2)で勝ちに等しい結果を残し、そしてこのステイヤーズS(G2)を勝利と、まさに牧場と厩舎のコミュニケーションが導いた勝利とも言える。

   その林調教主任だが、牧場で育成馬を管理する傍ら、馬運車に乗り込んで栗東、美浦、そしてノーザンファームしがらき、ノーザンファーム天栄にも足を運んでいる。

   「牧場で手がけていた馬を無事に送り出したいというだけでなく、向こうでどのような調整が行われているのか、厩舎や牧場スタッフたちとも情報を共有したいという気持ちもあります。でも、最近では北海道との寒暖の差に驚くこともありますね(笑)」

   アルバートはステイヤーズS(G2)の後、有馬記念(G1)への出走を表明。昨年は11着に敗れているだけに、初G1制覇だけで無く、リベンジの一戦ともなる。

   「林(正道)オーナーからは、『種牡馬にして欲しい』とも言われている馬ですし、そのためには大きなタイトルを取らせてあげたいと思います。中山コースも得意ですし、年齢を重ねて強くなっている印象からしても、有馬記念(G1)でどんな走りを見せてくれるか楽しみです」