重賞ウィナーレポート

2016年11月27日 京阪杯 G3

2016年11月27日 京都競馬場 雨 重 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ネロ

プロフィール

生年月日
2011年05月27日 05歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:31戦7勝
総収得賞金
323,045,000円
ヨハネスブルグ(USA)
母 (母父)
ニシノタカラヅカ  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
西山 茂行
生産者
本桐牧場 (三石)
調教師
森 秀行
騎手
M.バルザローナ
  • 本桐牧場入り口
    本桐牧場入り口
  • 本場の放牧地
    本場の放牧地
  • 整然とした場内
    整然とした場内
  • チャイナロック像
    チャイナロック像
  • 左からフジノマッケンオー、エリモシック、ハギノカムイオーの墓
    左からフジノマッケンオー、エリモシック、ハギノカムイオーの墓

   暮れの阪神カップ(G2)へ向かう晩秋の短距離重賞競走「第61回京阪杯(G3)」はM.バルザローナ騎手騎乗の2番人気ネロがレース途中から先頭にたつと、後続との差をどんどん広げて、そのまま4馬身差の圧勝劇を見せ、重賞初制覇を遂げた。

   本馬を生産したのは新ひだか町の本桐牧場。長井恵社長は「内枠スタートで馬場も渋り、この馬の条件が整い期待は持っていました。スタートが遅れ心配しましたが、難なく先頭に出てからは落ち着いて応援できました。‘ようやく’の重賞制覇だったのですが、意外と冷静に見ることができました。」と振り返る。

   この‘ようやく’の言葉には二つの想いがある。本馬の重賞2着2回の惜敗後の重賞初制覇と、この名門牧場にとっては、以外にも20年振りとなる生産馬の重賞の勝鞍だったことだ。1996年9月のフジノマッケンオーのセントウルS(G3)以来のことであった。

   久しぶりの重賞制覇に事務所に届けられたお祝いの花やお酒は事務所に入りきれない程の数だ。

   本馬の母はニシノタカラヅカ(父サンデーサイレンス 鵡川産)、本馬と同じ西山茂行オーナーの所有馬だ。本桐牧場で4頭を出産後死亡している。現在は半弟のニシノカプケ(父ハービンジャー)が現役で活躍中だ。母の母はニシノフラワーを出産したデュプリシト(米国産 父ダンジグ)という良血馬。

   本馬の担当だったスタッフの荒川さんは、幼駒の頃を振り返り「やんちゃな仔で手がかかりました。母親の神経質なところを受け継いだ様です。でも、元気に育ちましたね。」と語る。その荒川さんも今回のレースには自信があったという。小声で「実は応援に馬券を買っていたので、怖くてレースはリアルには見れなかったのです。」と笑う。

   名門本桐牧場は,約70ヘクタールに及ぶ本場と二つの分場を持つ。現在は28頭の繁殖牝馬を長井恵社長を中心とする10名のスタッフで賄っている。

   歴史のある名門牧場だけに、幾つもの逸話が残る。

   かつてオーハヤブサ(1962東京 オークス)、メジロタイヨウ(1969東京 天皇賞(秋))、ヤマニンモアー(1961 京都 天皇賞(春))など多くの名馬を輩出しているが、馬産地に語り継がれる話がある。

   一つは、英・仏で活躍した名種牡馬チャイナロックを導入、1324頭に種付けをして、1973年にはJRAチャンピオンサイアーとなるほど生産界に寄与している。チャイナロックの産駒にはタケシバオー(1969 京都 天皇賞(春))、アカネテンリュウ(1969 京都 菊花賞)、メジロタイヨウ(1969 東京 天皇賞(秋))ハイセイコー(1973 中山 皐月賞)などがいる。

   京阪杯(G3)当日はジャパンカップ(G1)が開催されていたが、日高では、本桐牧場の久しぶりの快挙を喜ぶ関係者も多かった。

   本馬が、次走に予定される高松宮記念(G1)で優勝すれば、いよいよ名門牧場の完全復活となる。