重賞ウィナーレポート

2016年11月05日 ファンタジーS G3

2016年11月05日 京都競馬場 晴 良 芝 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ミスエルテ

プロフィール

生年月日
2014年04月07日 02歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
47,420,000円
Frankel(GB)
母 (母父)
ミスエーニョ(USA)  by  Pulpit(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
池江 泰寿
騎手
川田 将雅

   デビュー前から「凄い牝馬がいる」との声を、ノーザンファーム早来牧場では聞いていた。屋内坂路を抜群の手応えで駆け上がり、その乗り味は様々な名馬に騎乗してきた育成スタッフも「これほどのストライドをした馬は初めて」と言わせた程。その強さから「怪物」と言わしめたフランケルの初年度産駒であるミスエルテは、衝撃のデビュー戦に続き、このファンタジーS(G3)でも桁違いの走りで重賞初制覇を飾った。

   「フランケルの産駒という血統面からも期待の大きな馬でしたが、乗り慣らしを始めた時に、他の馬とは違う、との思いを持つようになりました」と話すのは、ノーザンファーム早来牧場の岡真治厩舎長。「違う」と感じた乗り味は、屋内坂路コースでの調教が始まった時に、「走る」との気持ちに変わっていった。

   「ハロン17ぐらいの時計で騎乗したつもりが、時計を見たらハロン15になっていることもありました。乗っているスタッフだけでなく、併せ馬をした際のスタッフが苦労をしていました」

   これだけの乗り味と動きなら、この時点で重賞級と言っていいだろう。しかし、そうとは断言できない不安も、岡厩舎長は感じていた。

   「デビューまではフランケルの産駒が日本の馬場に合うのかな?との思いはありました。それでもデビュー戦を見た瞬間にその不安は無くなったどころか、これは凄いと思えるようになりました」

   調教でも好時計を記録していたミスエルテは、メイクデビュー阪神でも単勝1.3倍という圧倒的な支持を集める。折り合いの不安も無くレースを進めていくと、まさにストライドの違いで持ったまま集団を引き離していく。

   このファンタジーS(G3)ではスタートのタイミングが合わず、後方からのスタートとなったものの、ミスエルテの新境地を証明したレースとなった。直線で先行勢を射程圏内に置くと、まるでゴール板までの距離を逆算していたかのように、逃げたショーウェイをあっという間に交わしていく。牝馬には相応しくない名称かもしれないが、まさに「怪物の娘」たる強いレースを見せつけた。

   「いい意味で想像を超えてくれました。後方からのレースとなりましたが、ジョッキーもどれだけの脚を使えるかといった乗り方をしたかったのではないのでしょうか。それでもまだ本気で走っていないような印象を受けますし、次はどんなレースをしてくれるのか楽しみです」

  次走は朝日杯FS(G1)に出走を予定。牡馬を相手に「怪物の娘」がどんな走りをミスエルテが見せてくれるのか、岡厩舎長と同じように楽しみしかない。