2016年11月08日 ラブミーチャン記念(GDJ)
優勝馬:ヤマミダンス
プロフィール
- 生年月日
- 2014年03月27日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:4戦4勝
- 総収得賞金
- 31,823,000円
- 父
- ハーツクライ
- 母 (母父)
- キウィダンス(NZ) by ティンバーカントリー(USA)
- 馬主
- 山下 幹夫
- 生産者
- 新井 昭二 (門別)
- 調教師
- 中川 雅之
- 騎手
- 青柳 正義
『グランダム・ジャパン』2歳シーズンの第3戦「金沢シンデレラカップ(金沢)」と第5戦「ラブミーチャン記念(笠松)」を、金沢所属のヤマミダンスが連勝。いずれも後続に影をも踏ませぬ逃げ切り勝ちで、デビューから負けなしの連勝を「4」に伸ばした。
ヤマミダンスの生まれ故郷は、日高町豊郷の新井昭二牧場。過去には2000年の平安ステークス(G3)で2着したシアトルブリッジや、2007年のローレル賞(川崎)&東京2歳優駿牝馬(大井)を連勝したマダムルコントなどの活躍馬を生産。現在は2代目の代表となる水正博之さんのご家族とスタッフで、繁殖牝馬とその仔たちを管理している。
「2つのレースともに、圧倒的なスピードで押し切る強い内容でしたね」と、愛馬のレースを回顧する水正さん。デビューからの2連勝は半信半疑な気持ちで見ていたが、この重賞連勝で確かな手応えを感じたそうだ。
ヤマミダンスが牧場で過ごした時代について伺うと、「普段はおとなしいのですが、ときおり頑固な面を見せることがあり、幼少期から芯の強さを持っている馬でした」と振り返る。大きな病気や怪我もなく健やかに育ち、1歳夏のHBAセレクションセールに上場。しかし、買い手がつかずに主取りとなってしまった。「兄姉がみんなせりで買い手がついていたのでショックでしたが、まだまだ良くなる余地を残していましたので、さらなる成長を待とうと気持ちを切り替えました」と当時の心内を話す。
ヤマミダンスの母キウィダンスはニュージーランド産で、愛知競馬に所属しながら全国を飛び回り、通算12勝(うち重賞9勝)を挙げた活躍馬だった。「キウィダンスが繁殖入りして3年目に、知り合いに勧められて繁殖セールで購入したんです。これだけの実績がある馬なので、うちの牧場の目玉となるような仔が生まれることを期待し、トップサイアーを配合しつづけました。青毛の真っ黒な馬で体も大きく、仔出しも良かったのですが、爪が悪くてだんだん歩くのも困難になってきてしまったんです。そんな事情もあり、ヤマミダンスを生んだあとに繁殖を引退させました」と母馬の思い出を語ってくれた。
その後、北海道&金沢の調教師とともに牧場を訪れた山下幹夫オーナーと庭先での取り引きが成立。「山下オーナーがヤマミダンスをひと目見て気に入り、『すぐに売ってほしい』と言われるので、びっくりしてしまいました(笑)。こちらが逆に『まだまだ良くなると思いますので、秋まで待ちませんか?』と提案したくらいなんです」と笑顔を見せる。
2歳になったヤマミダンスは、北海道の千葉津代士厩舎に入厩。4月の能力検査で1番時計を出し、水正さんもデビューの日を今か今かと待ち望んでいた。「門別で走るのならば応援に行けるので、楽しみにしいたんです。ただ今夏の北海道は天候不順で雨が多く、馬場の状態があまり良くなかったので、デビューが延び延びになっていたんですね。いま思うと、あの時期に無理をしなかったのが大きかったのだと思います。馬のことを1番に考え、走らせたい気持ちを抑えて慎重に判断してくれた千葉先生のおかげです」と、影の功労者に感謝の意を表す。
結局、門別では1走もせずに金沢へ転厩し、そこから破竹の4連勝を見せたヤマミダンス。「まだ全国には強い馬がいますから、真価が問われるのはこれからになるのでしょうね。このあとの目標は暮れの東京2歳優駿牝馬だと聞いていますので、どんなレースを見せてくれるか楽しみにしています。うちの生産馬マダムルコントにつづいて2歳牝馬のチャンピオンになれたら最高ですね」と期待を膨らませる。
「生産馬がレースで結果を出してオーナーが喜んでくれるのが一番なのですが、こうやって手塩にかけた馬が久々に活躍してくれると、我々も元気が出ます」と満面の笑みを浮かべる水正さん。北海道からエールを送る生産者、そして育ててくれた調教師に、ヤマミダンスがますますの元気を届けてくれることに期待しよう。