2016年09月03日 札幌2歳S G3
優勝馬:トラスト
プロフィール
- 生年月日
- 2014年03月29日 02歳
- 性別/毛色
- 牡/芦毛
- 戦績
- 国内:4戦3勝
- 総収得賞金
- 171,343,000円
- 馬主
- 岡田 繁幸
- 生産者
- 中本牧場 (新冠)
- 調教師
- 河津 裕昭
- 騎手
- 柴田 大知
北海道開催の最終週に行われた札幌2歳S(G3)は、前走クローバー賞2着で出走権利を得た地方・川崎競馬所属のトラストが逃げ切り勝ちを収めた。地方馬の同レース優勝は01年のヤマノブリザード(北海道)、03年のモエレエスポワール(北海道)以来13年振り、3頭目の快挙となった。
トラストの故郷は、新冠町にある中本牧場。創業は昭和5年、これまでも05年の北海道2歳優駿(G3)を制したエイティジャガー、今年の兵庫ダービー馬ノブタイザンなど、地方競馬での活躍馬を多く生産している。現在は3代目となる中本政信さんと従業員1名のふたりで11頭の繁殖牝馬を飼養している。
トライアルレースとなったクローバー賞は「札幌開催でしたが、相手関係もわからないし、とりあえず様子見で自宅で観戦しました。結果は2着だったけど、割とやれるんじゃないかという印象でした」長距離輸送、初の芝レース、出負け気味のスタートと様々な不利を乗り越えての2着。本番までは札幌競馬場に滞在したトラストを応援するため、札幌2歳S(G3)は競馬場へ足を運んだ。
「滅多に競馬場へは行かないから、人の多さにビックリしましたね。前走と違ってスタートも良く、直線つき放した時はとんでもなくスタミナがあるんだなって感じましたし、ゴール前でトラスト!トラスト!ってたくさんの人が声をあげて応援していて、なんだか不思議な気分になりました」と笑った。
トラストの母、グローリサンディは地方・ホッカイドウ競馬でデビュー。中央交流競走のエーデルワイス賞(G3)を3着、ノースクイーンC優勝など、14勝(うち地方重賞4勝)をあげ、生まれ故郷に戻ってきた。
「人にも馬にもキツイ馬で、手こずったエピソードしかありません。母親がこんな感じなので、産駒たちは少なくとも母といる間は地味。自分の子供には優しいから、子供たちにとっては良き母親なんでしょうけどね。トラストも特にこれといったトラブルもなく、普通に成長していきました」と話す。
当歳夏、普通に暮らしていたトラストに転機が訪れる「1つ上の全兄、ウインオスカーが動きそうだということで岡田繁幸さんが見にきてくれました。それから成長を確かめるように何度も足を運んでくださって、年明け3月にコスモヴューファームへ移動しました。吟味に吟味を重ねた結果だったので、見どころがあるのかな?と期待を持って送り出したんですが、移動後骨折が判明したそうで、大丈夫かなぁという不安の方が大きくなってしまいました」と振り返る。
今や人気種牡馬となったスクリーンヒーローを、初年度から付け続けている中本さん。グローリサンディも5年連続で配合されており、何かこだわりや思い入れが?と訊ねたところ「うちのような小規模な牧場は、少ない選択肢の中からチョイスしていくしかないですからね。スクリーンヒーローを選んだ理由は、偶然の賜物なんです。最初は種付料から、それで生まれた子の出来が良かったのでずっと付けています。まさかこんなに走るとはね…」最初は偶然だった配合も、信じて付け続けた結果、生産馬が父の重賞勝ち馬ラインナップに加わった。
今後はJRAへ移籍し、中央競馬のクラシックロードを歩むこととなるトラスト。「怪我なく、数を使える馬になって欲しいですね。もう1頭の期待馬、ニシノオウカン(父リーチザクラウン)が1戦1勝で骨折休養してるから余計そう感じます。皆の記憶に残るような馬になって欲しい」と、中本さんはエールを送った。