重賞ウィナーレポート

2016年07月10日 プロキオンS G3

2016年07月10日 中京競馬場 晴 稍重 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ノボバカラ

プロフィール

生年月日
2012年04月08日 04歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:20戦6勝
総収得賞金
289,299,000円
アドマイヤオーラ
母 (母父)
ノボキッス  by  フレンチデピュティ(USA)
馬主
(株) LS.M
生産者
萩澤 泰博 (三石)
調教師
天間 昭一
騎手
M.デムーロ
  • 繁殖生活を送る半姉ノボピュアリティ
    繁殖生活を送る半姉ノボピュアリティ
  • 萩澤泰博牧場
    萩澤泰博牧場
  • 花き栽培~6月~11月まで入れ替わりに様々な花が咲く
    花き栽培~6月~11月まで入れ替わりに様々な花が咲く
  • 牧草上げ~イメージ写真
    牧草上げ~イメージ写真

 交流重賞マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)など秋のダート重賞路線をにらんだ「地方競馬全国協会理事長賞第21回プロキオンS(G3)」を1番人気で制したノボバカラの生産牧場は、三石富沢の萩澤泰博さん。

 10町ほどの土地で5頭の繁殖牝馬を飼養すると同時に、820坪の敷地に14棟のビニールハウスを設置して花き栽培をする複合農業を行っている。

 祖祖父が戦前に岩手から入植して以来馬を扱い、現代表の泰博さんで3代目になる。牧場の生産馬が中央重賞を制したのは初めてのことだった。

 萩澤さんは「うちの生産馬が、重賞レースに勝つなんて夢だと思っていました。今でも本当にうちの馬だったのかと、思う時があります。」と愛馬の快挙を喜ぶ。

 レースでは人気を背負いながらもスタートを決め好位につけ、直線で抜け出て押切るという強い勝ち方を見せた。「デムーロ騎手が乗ってくれるということもあって楽しみにしていました。でも、ゴール前で差されたことが何度もありましたから、ゴール前の直線は叫び続けて応援し声も枯れました。本当に長く感じた直線でしたね。」とレースでの興奮を思い出しているようだった。

 傍らにいた美智子夫人も「5月にも1度経験(かきつばた記念(Jpn3))させてもらいましたが、ゴールした時からお祝いの電話やメール、それに花やお酒などが次々に届き本当に嬉しかったです。2度目なので対応には、少しは慣れたかもしれませんが、喜びは変わりません。馬のおかげです」と愛馬を称賛する。

 美智子夫人も、生産馬の快挙にまだ実感がわかないと言うが、そこには一年中で、あるいは一番忙しかった日々という現状があった。本馬が快挙をなした10日前後は、日高地方に長い間の好天が予想され、どこの牧場も牧草上げに集中して取り込んでいる時だった。

 萩澤さんの牧場は、花き栽培の花の収穫も毎日繰り返し行われている。夫妻と長男の聖和さんの3人で取り組むには有り余るほどの仕事量だ。忙しさの中で、ゆっくりと愛馬の快挙を想う時は無かったのだろう。

 牧草上げがひと段落したこれからが、喜びを噛みしめる時かもしれない。

 本馬の母はノボキッス(母の父フレンチデピュティ)はJRAの勝馬。札幌競馬場のダート1000mで2着馬に2馬身以上の差をつけて優勝している。祖母ライズキッスが名種牡馬ソルトレイクの半妹という血統でJRA4勝、しかも近年ブルードメアサイアーとして評価が高まっているフレンチデピュティの直仔ということで繁殖馬としての期待は高く、本馬はその第3仔となる。日高町の牧場から声がかかり萩澤さんの牧場で繁殖入りしたという。

 ノボバカラを生んだあと3年間産駒に恵まれなかった母は他の牧場へ移動しているが、現在、一番仔の半姉ノボピュアリティ(父ノボトゥルー)が後継馬として牧場に戻り繁殖生活を送っている。 

 今後の本馬の活躍とともに、牧場への期待は高まるが、萩澤さんの3人の子供たちの後押しも大きい。花き栽培の研究所に通いながら実家を支える長男の聖和さんをはじめ、平取と浦河で働く子供たちからは、馬に関するデータなども届けてくれるそうだ。

 家族水入らずで今回の優勝を祝う日も遠くなない。