2016年06月07日 東海ダービー(DW2016)
優勝馬:カツゲキキトキト
プロフィール
- 生年月日
- 2013年02月20日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:15戦9勝
- 総収得賞金
- 148,064,000円
- 父
- スパイキュール
- 母 (母父)
- レイビスティー by キングカメハメハ
- 馬主
- 野々垣 正義
- 生産者
- 朝野 勝洋 (静内)
- 調教師
- 錦見 勇夫
- 騎手
- 大畑 雅章
東海地区の3歳ナンバーワンホースを決める「東海ダービー(名古屋)」を、1.2倍の圧倒的人気に応えてカツゲキキトキトが制した。中団追走から4コーナーでまくって先頭に立つと、直線では後続をどんどん引き離す独走劇。終わってみれば7馬身差の圧勝で、今年2月からつづく連勝を「7」に伸ばした。
カツゲキキトキトの生まれ故郷は、新ひだか町静内農屋の朝野牧場。ご夫婦と息子さんで、2頭の繁殖牝馬とその仔たちの世話をする家族経営の小さな牧場だ。牧場主の朝野勝洋さんは、東海ダービー前日から名古屋入りし、愛馬がダービー馬となる瞬間を現地で見届けた。
「本当に感激しましたね。オーナーといっしょにレースを観戦していたのですが、ゴールの瞬間は手を取り合って涙を流しました。自分の子供のように育てた馬ですから、人気にはなっていましたけれど心配で、前の日はまったく眠れませんでした。まさしく運動会に出る子供を見守るような心境でした」と、ゴール写真を何度も眺めながら歓喜のシーンを思い出し、感無量の表情を浮かべる。
カツゲキキトキトが牧場で暮らした幼少期のことをお聞きすると、「母レイビスティーにとっての初仔だったのですが、生まれてからなかなか立ち上がれず、心配したのを覚えています。1歳秋まで牧場にいて、体も徐々に丈夫になっていき、怪我もなく健康に育ってくれました。性格的にはとても素直でおとなしく、手のかからない馬でした」と振り返る。
母のレイビスティーは、カツゲキキトキトを生んだあとも毎年、順調に出産を重ねている。「今年生まれた当歳馬(牡、父スマートファルコン)で4頭目なのですが、みんな健康に育ってくれています。カツゲキキトキトの翌年に生まれた2番仔カツゲキマドンナ(牝2歳、父カネヒキリ)は、ホッカイドウ競馬で桑原義光厩舎からデビューする予定になっています」と妹弟を紹介してくれた。
「数年前に近所のフジワラファームさんからチェリーコウマン(ウインターS(G3)優勝馬、アンバルブライベンなどの母)を譲り受けたのですが、もう高齢なので繁殖を引退させ、あとは功労馬として世話をしながら、競走馬の生産は辞めようかと思っていたんです。すると、サラリーマンをしていた息子が戻って牧場を継ぐと言い出し、カツゲキキトキトの母レイビスティーを繋養する話も舞い込んできました。不思議なものですね。チェリーコウマンが幸運を連れて来てくれたような気がしています」と感慨深く話す。
「カツゲキキトキトには、今後もひとつひとつ、無事に走ってもらいたいですね。次は木之前葵騎手が乗ってジャパンダートダービー(Jpn1)に挑戦すると聞いていますが、今度は運動会というよりも、オリンピックに子供を送り出すような気持ちです。こんなにいい思いをさせていただき、オーナー、錦見調教師、厩舎スタッフの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」と話す朝野さん。息子のように愛情を注いで育てたカツゲキキトキトが、東海ダービー馬として大観衆の前でJpn1の舞台に立つ。競走馬の生産者として、これほど幸せな瞬間は他にないのかもしれない。