2016年06月06日 岩手ダービーダイヤモンドC(DW2016)
優勝馬:エンパイアペガサス
プロフィール
- 生年月日
- 2013年04月22日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:8戦6勝
- 総収得賞金
- 92,100,000円
- 母 (母父)
- ステージトリック(USA) by Distorted Humor(USA)
- 馬主
- 佐藤 信廣
- 生産者
- 佐藤牧場 (新冠)
- 調教師
- 佐藤 祐司
- 騎手
- 村上 忍
岩手競馬の3歳ナンバーワンホースを決める「岩手ダービーダイヤモンドカップ(盛岡)」を、単勝1.1倍の圧倒的人気に応えてエンパイアペガサスが制した。中団追走から4コーナーで持ったまま先頭に立つと、直線では楽に後続を引き離して5馬身差の圧勝。重賞3連勝でダービーの勲章を手中にするとともに、デビュー3戦目からつづく連勝を「6」に伸ばした。
エンパイアペガサスの生まれ故郷は、新冠町東川の佐藤牧場。1993年のデイリー杯3歳ステークス(G2)で、ナリタブライアンを破って優勝したボディーガードなどを送り出した生産牧場だ。エンパイアペガサスの生産者であり、オーナーでもある佐藤信廣さんは、愛馬がダービー馬に輝く瞬間を現地で見届けた。
「普段はパドックでものんびりと歩く馬なのですが、ダービー当日はいつもより気合が入っているのが伝わってきました。人気にもなっていたので期待はしていましたが、競馬はやってみないと分かりませんからね。勝ってくれて、ホッとしたというのが正直な気持ちです」とレースの感想を語る。
佐藤さん自らがケンタッキーの繁殖セールに出向き、世界的名種牡馬ディストーテッドヒューマーの直仔であるステージトリックを競り落として日本へ輸入。当時、話題沸騰していたエンパイアメーカーを交配し、生まれてきた良血馬がエンパイアペガサスだった。「1歳夏の北海道セレクションセールに上場したのですが、当時はまだ身体も成長途上で、トモの緩さも残っていました。主取りとなってしまったので、焦らずに成長するのを待とうと頭を切り替えたんです。新冠育成公社で時間をかけて育成を手掛けてもらったところ、徐々に身体も成長し、2歳の6月頃から動きも良くなってきました」と、育成期のエピソードを教えてくれた。
岩手競馬をデビューの舞台に選んだ理由について尋ねると、「もともとうちのルーツが岩手だということもあるのですが、私は岩手の土地や人が大好きなんです。ですからエンパイアペガサスの入厩先を決める際も、佐藤祐司先生の顔が真っ先に思い浮かびました。また、芝コースを持つ盛岡競馬場があることも少しは頭にありましたね」と、その経緯について話す。
「この馬の最大の特徴は、オンとオフがはっきりとしているところ。牧場にいた時からその兆候は感じていましたが、普段はおっとりしているのに、レースが近づくと顔つきが変わってくるようです。それは今後も、レースを重ねていくうえでの長所になると思います」と愛馬の性格を分析する。
今春、佐藤牧場ではエンパイアペガサスの半弟(牡、父ヘニーヒューズ)が生まれており、7月のセレクトセール当歳セッションに上場予定だという。「生まれたときは小さかったのですが、徐々に体高も伸びてきました。良血馬が揃うセレクトセールでどのような評価をしていただけるか、楽しみにしています」と、兄の大活躍を受けて当歳馬への期待も高まってきているようだ。
「エンパイアペガサスがこうやって活躍できているのは、育成を手掛けてくれた皆さんや、厩舎スタッフの努力のおかげだと感謝しています。まずは一冠目が獲れましたので、この後はぜひとも不来方賞、ダービーグランプリと岩手三冠を目指したいですね。そして関わってくださった皆さんと、喜びを分かち合いたいです」と愛馬の飛躍に期待を寄せる佐藤さん。まだまだ成長途上の部分も感じられるダービー馬が、将来どんな馬に育っていってくれるか。その未来が、楽しみでならない。