重賞ウィナーレポート

2016年06月12日 エプソムC G3

2016年06月12日 東京競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ルージュバック

プロフィール

生年月日
2012年04月22日 04歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:10戦4勝
総収得賞金
346,485,000円
マンハッタンカフェ
母 (母父)
ジンジャーパンチ(USA)  by  Awesome Again(CAN)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
大竹 正博
騎手
戸崎 圭太

 前回、このコラムでルージュバックを取り上げたのは、デビューから衝撃の3連勝、しかも、牡馬を向こうに回して初重賞制覇を飾ったきさらぎ賞(G3)。まさか、そこからG1勝ちどころか、重賞勝ちすら無かったとは、ほとんどの競馬ファンが想像しなかったに違いない。

 「人気も集中する馬だけに、管理をしていただいている大竹厩舎、中間を管理していてくれていたノーザンファーム天栄のスタッフ共に、苦労や悩みも多かったと思います」とは育成を手がけた窪田淳調教主任。ルージュバックが出走する際には、窪田調教主任の元へ頻繁に連絡が入っていたが、いい状態の時に限って展開が向かなかったり、馬場が渋ったりと、天才少女の煌めきを妨げる事象が起こっていた。

 このエプソムC(G3)の前にも、窪田調教主任の元にはノーザンファーム天栄のスタッフから連絡が入っていた。その際、電話をくれたスタッフは、「もの凄くいい状態で、最高のパフォーマンスを見せてくれるはずです」と弾むような声で告げてきたという。

 「大竹先生からも『これまでで一番いい』と言われました。天栄でのいい状態を厩舎がピークに持っていってくれたので、これなら勝てると信じていました」

 有馬記念(G1)以来となる牡馬との対決。斤量こそメンバー中最軽量の54㎏と恵まれた感はあるが、それでも重賞馬も名を連ねるメンバー構成、しかも大外18番枠からの発走は、競馬の神様がそう易々と勝利を許してくれるとは思えない。それでも窪田調教主任が「勝てる」と思った理由。それは「東京芝1800m」という条件だった。

 「元々左回りの合う馬だと思っていました。外枠でしたが、枠の有利不利無く、長い直線を生かせる競馬で結果を残していた馬でしたし、距離も合っていると思えました」

 エプソムC(G3)のゲートが開く。勝利を信じていた窪田調教主任ではあったが、勝負どころと見ていた最後の直線、全ての馬を交わせると思っていたその向こうに、1000m通過60秒5という絶妙な逃げを見せていたマイネルミラノの姿があった。

 「前が残っていた印象もあっただけに、一瞬、やられたのでは?とも思いました。それでも手前を変えながら伸びてきて、最後に左手前になってからは、まるでターボのような加速を見せてくれましたね」

 レース後、感想を述べたほとんどの騎手から聞かれた「勝った馬が強かった」との言葉。それは、レースを見ていた競馬ファンも一緒だったに違いない。天才少女は、ここに復活を果たした。

 「勝ち方も良かったですが、何よりも秋のG1シリーズに向けて賞金を加算できたのが大きかったと思います」とも話す窪田調教主任。この後、ルージュバックは調整に入ったが、ノーザンファーム天栄で再び英気を養って、大竹厩舎で最高の仕上げを施された後、G1の舞台でも最高の煌めきを見せてくれるに違いない。