ダート競馬充実のために1994年に設立された地方競馬全国協会理事長賞マーチステークス(G3)は、洞爺湖町のメジロ牧場生産で8番人気ショウナンアポロンが積極果敢にハナをきって、そのまま逃げ切り勝ち。40戦目の重賞初勝利となった。

   ショウナンアポロンの牧場時代を知るレイクヴィラファームの岩崎義久さんは「嬉しい勝利になりました。結果的にメジロ牧場にとって最後の世代となるこの世代は、とくに牡馬の数が少なかったのです。その中からサトノノブレスに続いて、ショウナンアポロンが出てきてくれたことは誇りです」と喜んだ。

   「実は、レースの前に馬券好きな友人から今回はチャンスがあるのではないかと言われていました。それでも半信半疑。何しろ、2歳の秋に初勝利を記録してから約2年間も勝てなかった馬です。当時は、まさか重賞競走に勝てるとは思いませんでしたが、こうやってジワジワと力を付けた成長力は、メジロの血統らしいところでしょうか」と笑顔を見せた。

   今回、岩崎さんは牧場仕事の合間に牧場スタッフと一緒にタブレットでレースを見ていたという。「タブレット放送は衛星を使っている関係で、リアルタイムの映像から少し遅れて配信されます。だから、もし勝ったら映像が終わる前に電話が鳴るね、なんて話していたら本当に(お祝いの)電話が鳴ってびっくりしました」と、そのときの模様を話し「ゴールのシーンはあとでVTRで見ましたので安心してみることができました」と笑った。

   同馬はサマーセール取引馬だ。「牧場時代は、サトノノブレスのように特別目立つ存在ではなく、性格的にキツいところがあった馬という印象です。ただ、サマーセールの会場では本当にたくさんの方に見ていただくことができました。このファミリーは、国本オーナーにも思い入れがある血統のようですから、期待に応えることができて嬉しいです。まだ底を見せていないところもありますし、この血統らしくこれからもタフに、長く活躍して欲しいと思います」とエールを送っている。