重賞ウィナーレポート

2016年03月13日 中山牝馬S G3

2016年03月13日 中山競馬場 曇 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:シュンドルボン

プロフィール

生年月日
2011年01月20日 05歳
性別/毛色
牝/青鹿毛
戦績
国内:22戦6勝
総収得賞金
152,770,000円
ハーツクライ
母 (母父)
ネイチャーガイド  by  エルコンドルパサー(USA)
馬主
(有) 下河辺牧場
生産者
下河辺牧場 (門別)
調教師
矢野 英一
騎手
吉田 豊
  • 殊勲の母ネイチャーガイド
    殊勲の母ネイチャーガイド
  • 整備された放牧地
    整備された放牧地
  • 鋭気を養う1歳馬たち
    鋭気を養う1歳馬たち
  • エントランスにも名門牧場の雰囲気が漂っている
    エントランスにも名門牧場の雰囲気が漂っている
  • 牧場の看板
    牧場の看板

 第34回中山牝馬ステークス(G3)は、4番人気のシュンドルボンが優勝。道中は後方でレースを進め、直線で外に出すと鋭い脚で2着馬をクビ差捕えて差し切り、重賞初制覇となった。

 シュンドルボンを生産したのは、日高町にある下河辺牧場。生産・中間育成・育成を行う総合牧場で、三冠牝馬のスティルインラブをはじめ、ショウナンアデラ、ダノンシャーク、アユサン、ダイワエルシエーロなど数々の活躍馬を輩出している。

 「強かったですね。全てが上手くはまりました。」と嬉しそうに話して下さったのは、下河辺牧場の下河辺行雄社長。父の俊行さんと共に中山競馬場でレースを見守っていた。「状態はいいと聞いていました。脚をためる指示があったことも聞いていたので、良いレースをしてくれたらなぁと思っていました。」と、レース前の心境を振り返った。「全てが噛み合って思い描いていた通りのレースになったし、馬もそれに応えてくれた。競馬場で調教師さんが一番喜んでくれました。僕らも嬉しかったです。」

 故郷の放牧地ではシュンドルボンの母ネイチャーガイドが、出てきたばかりの青草を食んでいた。本年の出産はお休みだが、全兄弟を誕生させるべくハーツクライの種付けを予定しているそうだ。ネイチャーガイドは、シュンドルボンとは少し違うタイプのようで、きれいなスラッとした体型をしている。父馬似の産駒を出す傾向にあるという。

 ネイチャーガイドの母ホワイトウォーターレディは、それまで下河辺牧場にいなかったというリヴァーマン直仔の繁殖牝馬。その母は英国1000ギニー(G1)やチヴァリーパークS(G1)を勝利したウォータールーという血統で、母系の良さにほれ込んでアメリカの繁殖馬セールで購入してきたそうだ。

 レースで見惚れる美しく雄大な青鹿毛の馬体。牧場にいた頃のシュンドルボンはさぞかし印象に残っているのではないかと思ったが、「華奢で体力的に心配していた馬でした。」という意外な声が返ってきた。「マーケットブリーダーなので全て売り馬なのですが、あの馬だけは本当に自信がなくて、お客様にお見せできませんでした。高額種付料のハーツクライ産駒ですし、本当なら販売したいところだったのですが…。」と少々複雑な心境を語った。厩舎も決められず、まもなく2歳になろうかという時期に、やっと矢野厩舎へ所属することが決まったそうだ。その心配な馬が変わったのは2歳の夏頃だという。基礎体力をつけることを中心に進めていた調教だが、急に馬体がしっかりしてきて良くなり、きっちり調教を積めるようになったそうだ。「2歳に入ってからの成長力が凄かったです。今思えば奥手なタイプだったのでしょうね。本当にわからないものです。」と驚くと共に、シュンドルボンの成長を見守ってきたときのような優しい表情を見せた。

 5歳になった今、本馬にとってはまさに充実期ではないだろうか。大目標のヴィクトリアマイル(G1)に向け期待は高まる。「まだまだ挑戦者。まずはそこまで無事に駒を進めてもらえれば。」華奢だった仔馬は、今まさに成熟の時を迎え、美しい青鹿毛をなびかせ大きなタイトルに挑む。