2016年03月26日 毎日杯 G3
優勝馬:スマートオーディン
プロフィール
- 生年月日
- 2013年02月20日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:5戦3勝
- 総収得賞金
- 187,112,000円
- 父
- ダノンシャンティ
- 母 (母父)
- レディアップステージ(IRE) by Alzao(USA)
- 馬主
- 大川 徹
- 生産者
- スカイビーチステーブル (新冠)
- 調教師
- 松田 国英
- 騎手
- 戸崎 圭太
3歳牡馬クラシック戦線の重要な前哨戦「毎日杯(G3)」は、新冠町万世にあるスカイビーチステーブルの生産馬スマートオーディンが持ち前の末脚を生かして優勝した。
本馬は、昨年11月の東スポ杯2歳ステークス(G3)に続く重賞2勝目。牡馬で世代最初のJRA重賞2勝馬となった。
スカイビーチステーブルは、2012年創業。同牧場が開設されて、最初に種付けをした生産馬世代でもあり、苦労して牧場を開設した小濱正博社長と真弓夫人への夢のあるプレゼントとなった。家族経営の牧場で初年度の産駒がクラシックに出走する幸運を授かる例は稀だ。
小濱さんは、本馬の当歳時代に強烈な印象を持っている。「元気な仔で、とにかく走ることが好きでした。隣の放牧地に1歳馬がいたのですが、その仔たちを誘って牧柵沿いに競走していたのです。約200mのアップダウンのある直線を次から次へと1歳馬を誘っては何度も走っていました。相当なスピードとスタミナが在りましたね。坂に強く最後の1ハロンの際立った末脚は当時に培われたものなのでしょう。私が見ても走ると分かるような仔でした。それにしても。クラシック戦線まで進めるとは、私も大変恵まれた人間です。」としみじみと語る。
近年、家族経営の牧場の運営は厳しく、その数も減少状況にある。多い時は2,000軒程あった牧場は、今では800軒を切る数となった。生産界は今も、働き手の不足と小規模経営に厳しい経済状況が続いている。その中で、小濱さんは、困難に立ち向かうことを選択して、全てが新しい牧場牧場を立ち上げた。
大阪の木材会社を営む家に産まれた小濱さんは、競走馬の世界に情熱を抱き大阪の知人を頼って池田町の新田牧場に就職。競走馬つくりのノウハウを、社台グループへの研修や紹介された牧場から得て独立した。
「実家からも知人からも反対されました。預託馬牧場としてスタートしたかったのですが、馬が集まらなくて大変でした。多くの馬主さんや牧場の先輩を訪ねたくさんの人のお世話になりました」。資金集めにも苦労した小濱さんは、「ようやく牧場を立ち上げた時に、このスマートオーディンが活躍してくれて、本当に嬉しいんです。馬主さんやお世話になった皆さんに少しでも恩返しできましたから」とホッとした表情も見せる。
現在、牧場の預託飼養頭数は20頭、小濱正博社長、真弓夫人とスタッフのリッキーさん、アルバイトの島田さんの4人で運営している。
小高い丘にある同牧場の地平線には、小濱さんが24時間放牧のために工夫したシェルター2棟が浮かぶ。新田牧場時代に考えた広い放牧地用の厩舎だ。シェルターと呼ぶこの施設は今、生産者仲間の話題となっている。
「僕は、まだまだ勉強不足です。先輩たちから学び、少しでも可能性があるのなら考えながら牧場つくりをして行きたいです。」と小濱さん。
スマートオーディンの活躍は、周囲からの信頼を築き、これからの小濱ご夫妻の夢を後押ししているようだ。