重賞ウィナーレポート

2016年01月27日 川崎記念(中央交流) Jpn1

2016年01月27日 川崎競馬場 晴 良 ダ 2100m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ホッコータルマエ

プロフィール

生年月日
2009年05月26日 07歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:33戦17勝
総収得賞金
1,078,706,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
マダムチェロキー  by  Cherokee Run(USA)
馬主
矢部 道晃
生産者
市川フアーム (荻伏)
調教師
西浦 勝一
騎手
幸 英明

 数々の名馬が挑んでは跳ね返された「9」の壁が破られた。

 2016年1月27日。川崎競馬場で行われる伝統の川崎記念(Jpn1)に出走したホッコータルマエがJBCクラシック(Jpn1)、チャンピオンズカップ(G1)、東京大賞典(G1)で先着を許したサウンドトゥルーの追撃を振り切って優勝。日本競馬史上初のG1/Jpn 1競走10勝の金字塔を打ち立てた。

 「王者」が、そのプライドをかけた戦いだった。ゲートを出たのはホッコータルマエがもっとも速かったが、内からサミットストーン、マイネルバイカ、パッションダンスが行く気を見せると砂を被らないように好位の外で我慢。逆にサウンドストーンは、これまでよりも前目の位置でホッコータルマエを射程圏内に入れての位置取りとなった。前走の東京大賞典(G1)でG1ウイナーの仲間入りを果たした挑戦者は、この1戦で世代交代を突きつけようという構え。

 道中は、淡々としたペースで先行馬群の位置取りに変わりはなかったが、勝負どころの3角手前で、先に動いたのはサウンドトゥルーだった。インコースからホッコータルマエに並びかけようとする。それを確認した幸騎手からのゴーサインを受けると、ホッコータルマエは先行馬を一気に捕えて直線中ほどで先頭に。ゴール前では再び脚を伸ばすサウンドトゥルーの追い込みを頭差抑えての勝利となった。

 川崎競馬場でレースを観戦した生産者の市川ファーム、市川久さんは「ゴールした瞬間は、勝ったか負けたか分かりませんでした。リプレイ画像では有利だとは思いましたが、確定するまではドキドキでした」と当時の気持ちを話してくれた。

 昨年の帝王賞(Jpn1)を制したあと「10」という数字は意識していたようで「休み明けのJBCクラシック(Jpn1)はともかくチャンピオンズカップ(G1)、東京大賞典(G1)は自分が肩に力を入れ過ぎたのかもしれません。今回は、少し肩の力を抜いて観戦しました」と笑った。

 これで川崎記念(Jpn1)は3連覇。3年連続でドバイワールドカップ(G1)への挑戦が有力だ。

 「もう7歳馬ですからパドックで周回する姿を見て、大人になったなぁという印象を受けました。迫力や勢いは若いときの方があったのかもしれませんが、今日のような競馬が出来たのは円熟味のようなものを備えてきたからだと思います。多くの馬たちが超えられなかった壁を破ってくれて、本当に嬉しい」と声を弾ませた。

 「生産者として、馬に感謝の気持ち。それだけです。あとは無事に競走生活を終えて、種牡馬として戻ってきてほしいと願っています。やっぱり、ホッコータルマエの子供を見てみたい、自分で手掛けてみたいという気持ちはあります」と、“親心”をのぞかせる。巷間伝えられているように、2016年は現役続行だ。ドバイワールドカップ(G1)に出走すれば日本馬として初の3度目の挑戦。そして秋のJBCクラシック(Jpn1)は3連覇を成し遂げた川崎記念(Jpn1)と同じ距離、コースで行われる。

 産みの苦しみで超えた壁は、ホッコータルマエ陣営の夢でもあった。そして、今度はホッコータルマエ自身が大きな壁となる。そのためにも、まだ夢は、終わらない。