2015年12月06日 チャンピオンズC G1
優勝馬:サンビスタ
プロフィール
- 生年月日
- 2009年03月18日 06歳
- 性別/毛色
- 牝/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:28戦11勝
- 総収得賞金
- 376,257,000円
- 馬主
- (株) ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン
- 生産者
- グランド牧場 (静内)
- 調教師
- 角居 勝彦
- 騎手
- M.デムーロ
中央・地方の一流ダート馬が揃い、豪華メンバーの対戦が実現したチャンピオンズカップ(G1)は、牝馬のサンビスタが中団から鋭く抜け出し、並みいる牡馬を抑えてG1制覇を飾った。
本馬の生産は新ひだか町静内のグランド牧場。昭和2年から始まる歴史ある牧場で、現在は新ひだか町静内にプリモファーム、真歌繁殖場、真歌トレーニングセンター、新冠町に高江繁殖場、岩手県に遠野ステーブルと複数の拠点を持ち、一貫した競走馬の生産・育成をしている。繁殖牝馬は約80頭で、スタッフは35名を数える。これまでには天皇賞馬スズカマンボやダート界を盛り上げたラブミーチャンを生産し、今年はマイネルクロップがマーチステークス(G3)を制し、2歳世代のタイニーダンサーは北海道2歳優駿(Jpn3)、エーデルワイス賞(Jpn3)、栄冠賞(H2)、フローラルカップ(H3)を、モダンウーマンはローレル賞(S3)、フルールカップ(H3)、リリーカップ(H3)を制し、ホッカイドウ競馬2歳重賞をほぼ総なめにしている。
レース当日、同牧場の伊藤佳幸社長は現地・中京競馬場で観戦しており、牧場では社長夫人の伊藤紀子さんや牧場スタッフが声援を送っていた。12番人気を覆し、見事1着でゴールを決めると、牧場の自宅に新ひだか町の酒井芳秀町長やJAしずないの西村和夫組合長、静内軽種馬生産振興会の田中裕之会長、HBA職員らが駆けつけ、万歳で喜びを分かちあった。紀子さんは、「レース前、M.デムーロ騎手が良い感触を掴んでいるというお話を聞いていたのですが、強い牡馬相手となりますし、無事に走って欲しいと願っていました。よく走ってくれましたね。角居勝彦厩舎の皆さんにはデビューから本当に可愛がってもらって、手をかけてくださり、感謝しています。今年11月にヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンの懇親会があって、会員の方から『次も応援に行きます』と聞いていました。会員の皆さまにも喜んでもらえて嬉しいです」と、胸中を語ってくれた。
万歳の輪には本馬を手がけたスタッフも入った。同牧場・中間育成マネージャーの鈴木詠介さんは、「サンビスタも、その父母にも携わってきたので、この血統で勝てたことは最高に嬉しいです」と、喜び、繁殖部門の場長を務める藤田貴寛さんは、「感無量ですね。大事にしてきた血統ですし、励みになります。スズカマンボの負けん気の強さが、サンビスタに受け継がれました」と、しみじみ勝利を受け止めていた。
感動のゴールから間もなく、自宅には次々とお祝いの花やお酒が届けられた。勝利の興奮に沸く中、酒井町長は、「名馬のふるさと、新ひだか町産馬にふさわしい走りでした。父スズカマンボ以来となるグランド牧場の中央G1勝利で、天皇賞(春)(G1)を思い出しました」と、満面の笑みで報道陣に応えた。
酒井町長の言葉通り、本馬はスズカマンボの直子。母ホワイトカーニバルも同郷で、2歳時にフェアリーS(G3)を優勝しているから、父母子揃って同牧場生産の重賞馬という、華麗なプロフィールを誇る。牧場時代の本馬について中倉和幸マネージャーによると、「品のある馬で、早くから目立つ存在でしたね。当歳時はそれほど大きい馬ではありませんでしたが、骨格がしっかりして、次第にボリュームを増してきました。顔や目つきは父スズカマンボに似ていましたね」と、当時を振り返る。伊藤社長は当歳時から本馬を高く評価していたという。
このレースを最後に、本馬は現役引退を発表。すでに同牧場へ里帰りし、繁殖牝馬としての準備を開始している。中央、地方とダート戦線を駆けめぐり、待っていたのは引退の花道。最高の輝きを放って次の扉を叩くことになる。彼女の戦いを見守ってきた紀子さんは、「これまで無事に走ってくれたことが何よりです。サンビスタの長所は根性。今度はその長所を生かして、良いお母さんになって欲しいです」と、期待を込めて迎えている。