2015年12月13日 阪神ジュベナイルフィリーズ G1
優勝馬:メジャーエンブレム
プロフィール
- 生年月日
- 2013年03月26日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:4戦3勝
- 総収得賞金
- 243,107,000円
- 父
- ダイワメジャー
- 母 (母父)
- キャッチータイトル by オペラハウス(GB)
- 馬主
- (有) サンデーレーシング
- 生産者
- ノーザンファーム (安平)
- 調教師
- 田村 康仁
- 騎手
- C.ルメール
所属する田村康仁厩舎にとって、開業18年目で始めてのG1制覇を授けたメジャーエンブレム。実は育成先であるノーザンファーム空港牧場のA-3厩舎にとっても、これが厩舎開業以来、初めてのG1馬となった。
「重賞勝ちもフェリシア(フェアリーS(G3))以来となります。G1だけでなく、重賞にもずっと縁が無いのではと思っていた時期もあるだけに、本当に嬉しい勝利となりました」と東谷智司厩舎長は待ちに待った勝利を振り返る。
勝利をもたらしてくれたメジャーエンブレムに初めて会ったとき、東谷厩舎長は牝馬らしくない馬体に頼もしささえ感じたという。「馬格もあって、いかにも父のダイワメジャーが強く出ていると思えました。この馬体ながら馬体減りの心配もなく調教を進められると思いました」(東谷厩舎長)
田村調教師とも相談した結果、早めの入厩を目指すことになったメジャーエンブレムであるが、その際、最も気を使ったのが前向きな気性のコントロールだった。
「あまりテンションを上げないようにと、運動の際には気を使いました。高い能力を持ち合わせていたメジャーエンブレムには物足りなさを感じることもあったようで、時には疲れていないという仕草を見せることもありました」(東谷厩舎長)
6月のメイクデビュー東京、9月のアスター賞を連勝した後に臨んだアルテミスS(G3)では、勝ち馬の決め手に屈したものの、2着に入着。安定したレースぶりから1番人気も想定された、この阪神JF(G1)だったが、東谷厩舎長は厩舎のスタッフを応援に行かせている。
「この舞台に進むことができたのは、厩舎スタッフのおかげだと思っていました。また、田村厩舎の皆さん、イヤリングのスタッフ、繁殖のスタッフなど、この馬に関わった全ての人に感謝したいと思ってもいました」(東谷厩舎長)
その思いが届いたかのような2馬身差の完勝。先日、発表された阪神JF(G1)のレーティングでも、過去10年では最高となる111が与えられた。
「勝利の女神はいつ、この厩舎に微笑んでくれるのだろう? と考えた時期もありました。そんな頃に声をかけてくれた厩舎長や調教主任の皆さんには感謝し尽くせません」(東谷厩舎長)
実はこの取材の前にも、ある調教主任が厩舎を訪ねてきたそうで、「幾らあっても足りないだろう?」と言うと、ビールを一ケース置いていったという。それだけ、ノーザンファーム全体で、A-3厩舎のG1制覇を喜んでいたエピソードと言えるだろう。
「田村先生とも常々この馬で大きなレースを勝ちたいと話していたので、それが叶ったことも嬉しいです。来年の活躍も楽しみになるような勝ち方でしたし、また、みんなで喜びを分かち合いたいですね」(東谷厩舎長)
初めてA-3厩舎に微笑みを返してくれた勝利の女神は、今後もメジャーエンブレムの活躍を通して、幾度も東谷厩舎長やスタッフたちに幸福を届けてくれそうだ。