重賞ウィナーレポート

2015年12月13日 カペラS G3

2015年12月13日 中山競馬場 曇 重 ダ 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:キクノストーム

プロフィール

生年月日
2009年04月08日 06歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:36戦7勝
総収得賞金
160,355,000円
スタチューオブリバティ(USA)
母 (母父)
シラー(FR)  by  Fabulous Dancer(USA)
馬主
菊池 五郎
生産者
高村牧場 (浦河)
調教師
吉田 直弘
騎手
内田 博幸
  • 手作りの横断幕を手に高村さんご家族とキクノストームの半妹のライブリハート
    手作りの横断幕を手に高村さんご家族とキクノストームの半妹のライブリハート
  • 半妹ライブリハート
    半妹ライブリハート
  • 放牧地
    放牧地
  • 山まで広がる放牧地
    山まで広がる放牧地
  • 牧場看板
    牧場看板

 JRAで行われる唯一のダート1200mの重賞「第8回カペラS(G3)」は、浦河町絵笛の高村牧場の生産馬キクノストームが鋭い末脚で優勝した。6歳馬での重賞初制覇に、親子2代で営む牧場は喜びに包まれていた。

 同牧場は、現在代表を務める高村唯三社長の先代が終戦で帰還した昭和20年に創業した。先代は、出征前に炭焼きの仕事をしており、自宅には山から木を運ぶための馬がいたことから、自然と競走馬の生産をスタートさせたという。

 ただ、同牧場が位置する場所は絵笛川の上流で河川敷の平地部分は狭い。そのため、唯三社長は、山を削りながら土地を広げ、栄養価の高い牧草作りに励んでいる。足もとが丈夫で、健康な馬が育っていると周囲からの評判も良い。生産馬のショウリュウムーン(父キングカメハメハ、母ムーンザドリーム)が、チューリップ賞(G3)(2010年)でJRA重賞初制覇を飾り、翌年に京都牝馬S(G3)、翌々年には朝日チャレンジC(G3)と3年連続で重賞を制覇する快挙を成し遂げている。

 レースの当日は、唯三社長と美子夫妻、現在牧場の作業の中心となる三男の祐太郎さんとはるか夫妻、そして生まれたばかりのお孫さんが居間に集まって応援していた。

 唯三社長は「4コーナーでは、前に追い付かないと思ったのですが、それからが凄かった。良い脚を持っていたね。あまり年をひらけないで重賞が取れたことも嬉しかった。」と本馬の快挙に感心している様子でもある。

 また、祐太郎さんはレース前の本馬の調子の良さを聞いていたようで「勝つと思って見ていました。幼駒の頃は、手の掛からないおとなしい仔だったのですが、馬を引いている時に、一度、抑えきれないほど前に出ようとした感触が記憶に残っているのです。スイッチが入ったら負けない馬だと思っていました。」と笑顔が弾けている。

 馬好きが縁で牧場に嫁入りしたはるかさんの喜びも大きい。産まれてくる幼駒の中で一番可愛かったと本馬に期待し、応援しようと手作りの横断幕を作ってきた。「もう嬉しくて、嬉しくて」と顔を紅潮させるはるかさんに唯三社長たちからは「直線で抜け出てからは、ここで飛び跳ねるやら、大声を出すやら大変でしたよ。」と笑いを誘っていた。

 本馬の母シラー(仏国産、父ファビュラスダンサー)は牧場仲間より導入した繁殖馬。仲間の牧場で4頭の産駒を産み、本馬は高村牧場での5番仔となる。現在、半妹のライブリハート(父プリサイスエンド)が帰郷して、来年の3月にブラックタイドの仔を出産予定だ。

 本馬の父スタチューオブリバティは、イーストスタッドに供用後、外国に移動している。国内での産駒では、アクティブミノル(阪神・セントウルS(G2)、フジワラファーム生産馬)に次ぐ2頭目の重賞優勝馬となった。配合について唯三社長は「ストームキャットの直仔だったのが魅力だった。」と語るが、同種牡馬の導入にもにも関わりを持っていただけに喜びもひとしおだ。

 祐太郎さんは「キクノストームは、自分たちが目指していた丈夫な馬です、遅咲きと思われますが、今回は体重が増えての優勝です。まだ成長していると思っていますし、走り方に目覚めたのですから今後を楽しみにしていますよ。」と。

 次のレースには、はるかさん手作りの横断幕を持って家族全員で応援に行きたいと期待を膨らませている。