重賞ウィナーレポート

2015年12月05日 ステイヤーズS G2

2015年12月05日 中山競馬場 晴 良 芝 3600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アルバート

プロフィール

生年月日
2011年02月07日 04歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:16戦6勝
総収得賞金
401,394,000円
アドマイヤドン
母 (母父)
フォルクローレ  by  ダンスインザダーク
馬主
林 正道
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
堀 宣行
騎手
R.ムーア

 4連勝でのステイヤーズS(G2)制覇。この成績を紐解いていくと、JRA北海道シリーズをきっかけにアルバートの能力が開花したことが読み取れる。まさに競走生活を変えた一夏の経験。その時、アルバートはノーザンファーム早来牧場で調整されていた。

 「こちらに来たのは函館でレースを使った後になります。当初はレースの疲れも見られましたが、回復してからは状態も上向きになりました」とは育成時から携わってきた林宏樹調教主任。「こちらで特別なことは何もしていないですよ」と笑顔も見せるが、数か月後に重賞ウイナーとなり得る変化は、厩舎を送り出した初戦のレース内容から感じ取っていた。

 「これまでは勝ったり負けたりと、レース内容が安定していない印象もありましたが、札幌でのレース以降、レーススタイルが安定してきたような気がしました。その意味ではJ.モレイラ騎手のおかげなのかもしれません」(林調教主任)

 「モレイラマジック」にファンが魅了された、8月29日、30日の札幌競馬場。「ワールドオールスタージョッキーズ」に参戦したJ.モレイラ騎手は、4レースの合計で56点を獲得し、見事に優勝をおさめただけでなく、20鞍の騎乗で7勝2着4回と、圧倒的な成績を残した。その7勝のうちの1勝にはアルバートの騎乗も含まれているが、このレース、中団のインコースに待機したアルバートは、最後の直線で外に進路を向けると、一気に末脚を爆発させていく。ここから連勝が始まったことを考えても、アルバート自身も「モレイラマジック」にかかったとも言えそうだ。

 「最近のレースは安心して見守ることができました」と林調教主任。道中では脚を溜めて、直線で爆発させるスタイルが確立してからは連勝を重ねて行き、京成杯(G3)以来の重賞出走となるこのステイヤーズS(G2)でも、重賞勝ち馬たちを退けて1番人気の支持を集める。

 「行きっぷりが良かったのにも関わらず、道中の折り合いは完璧でした。最後の直線でどんどん後続との差を離していった時には、そこまで追わなくてもいい、と思ってしまったほどです(笑)」(林調教主任)

 2着との着差はなんと5馬身。連勝を続けながらも、更に強さを増しているアルバートだが、林調教主任にとってこの活躍は、血統面でも嬉しさがあった。

 「父のアドマイヤドンの育成も手がけてきました。その父もまた、前向きな馬でしたが、産駒から芝の長距離を得意とする馬が出てくれたことは嬉しさもあります。アルバート自身も、来年は更に完成度を増したレースを見せてくれそうです」(林調教主任)

 距離の不安を感じさせないレース内容からして、来年の目標は天皇賞(春)(G1)となりそうなアルバート。この充実ぶり、そして成長度なら、このまま連勝でのG1制覇も十分に考えられそうだ。