2015年11月23日 東スポ杯2歳S G3
優勝馬:スマートオーディン
プロフィール
- 生年月日
- 2013年02月20日 02歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:3戦2勝
- 総収得賞金
- 187,112,000円
- 父
- ダノンシャンティ
- 母 (母父)
- レディアップステージ(IRE) by Alzao(USA)
- 馬主
- 大川 徹
- 生産者
- スカイビーチステーブル (新冠)
- 調教師
- 松田 国英
- 騎手
- 武 豊
名馬の登竜門「第20回東京スポーツ杯2歳ステークス(G3)」が11月23日東京11Rで行われた。新種牡馬ダノンシャンティ産駒の4番人気スマートオーディンは道中、後方2番手。直線までじっくりと脚を温存すると最後は大外から鋭い末脚を発揮して重賞初制覇。同馬を生産したスカイビーチステーブルにとっても、父ダノンシャンティにとっても産駒の重賞初勝利となった。
スマートオーディンは、父ダノンシャンティ、母レディアップステージ、母父アルザオという血統。ダノンシャンティは鋭い差し脚を武器に共同通信杯(G3)2着、毎日杯(G3)優勝、NHKマイルC(G1)優勝と3歳春から活躍した。まだまだ輝けたはずだったが屈腱炎のため引退。5歳春から社台スタリオンステーションで種牡馬入りした。母レディアップステージはアイルランド産で、芝2000mのG2優勝、芝2000mのG1では2着、3着の戦績を残している。
スカイビーチステーブルは2012年4月に新冠町で開場した新進の生産牧場だ。現在は代表の小濱正博さん、真弓さんご夫婦とスタッフ4名、繁殖牝馬27頭を有し、日々努力を積み重ねている。一目惚れして決めたという牧場は遠く太平洋を望み、早朝には雲海が見られる事もある絶好のロケーションだ。社名は、2012年に完成し話題になったスカイツリーと小濱さんの名字から名付けたそうだ。
前日は眠れなかったという小濱さんはスタッフ全員と事務室でレースを観戦していた。「本場馬入場を見た時はまるで自分の息子の晴れ姿をみているような、不安と嬉しい気持ちでいっぱいでした。武豊騎手とのコンビで最高のパフォーマンスを見せてくれたら良いなと思って観ていました。」牧場の仕事を始める前から、同じ歳のスーパースターとして憧れを抱いていたという武豊騎手に、いつか自身が生産した馬に騎乗してもらい重賞レースで勝利を飾りたいという夢を持つようになり、それが現実になった。「勝ってくれると信じて応援していました、嬉しかったですね。レース後はスタッフのみんなと泣いてしまいました。」そう振り返りながら、また溢れてくる涙が特別な勝利だった事を物語っているようだ。「こんなにたくさんのお花やお祝いの品を頂き、本当に嬉しいです。競走馬に関して素人同然の私が今日まで歩んで来ることができたのは皆さんのおかげです。感謝の気持ちでいっぱいです。」と感無量の表情だった。
牧場時代のスマートオーディンは頭が良く、いつも元気で前向きな性格だったそうだ。人間が好きで、放牧地に放たれていても人の姿を見つけると駆け寄って来ることもしばしばあったという。「当歳時、隣の放牧地にいた1歳馬と柵越しに何度も競走していたのを思い出します。坂を駆け上がって来るのが好きだったのかも知れませんね。」水平線に向かって広がる放牧地に立ち懐かしそうに話してくれた。
母レディアップステージは社台コーポレーション白老ファーム所属の繁殖牝馬だったが2012年にスカイビーチステーブルへとやって来た。父がアルザオでダノンシャンティを受胎というのでとても魅力を感じ、是非1年だけ仔を取らせて欲しいと言う願いが実現したという経緯があったと話す小濱さんは、自身が2008年、社台コーポレーションの研修に参加した際、世話を担当したのが同馬だったという縁もあり、特段の思い入れがあったのかも知れない。スマートオーディンを育てた後はデュランダルを受胎し韓国に輸出され、新たな生活をスタートしている。
開場してから3年の間に何かを残したい、そう心に刻んで必死に食らいついてきた。離乳後は24時間放牧をしている為、月1回のボディチェックで土壌改良や馬体チェックにいたるまで色々な分野のスペシャリストにより良いコンディション作りのアドバイスをもらい環境を整えている。「この牧場に関わって下さる皆さんに応えるために、これからも頑張って行きたい。」と力強く自身に誓った。
まだまだ素質を秘めるスマートオーディン。卓越した瞬発力を武器に、来年のクラシックへの飛躍を期待している。