重賞ウィナーレポート

2015年10月31日 アルテミスS G3

2015年10月31日 東京競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:デンコウアンジュ

プロフィール

生年月日
2013年04月08日 02歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
225,090,000円
メイショウサムソン
母 (母父)
デンコウラッキー  by  マリエンバード(IRE)
馬主
田中 康弘
生産者
磯野牧場 (浦河)
調教師
荒川 義之
騎手
田辺 裕信
  • 牧場看板
    牧場看板

 年末に行われる2歳女王決定戦の前哨戦「第4回アルテミスステークス(G3)」が10月31日、東京競馬場の芝1600mコースで行われ、田辺裕信騎手騎乗の12番人気デンコウアンジュが直線大外から豪快に脚を伸ばして優勝。自身の重賞初勝利は、父メイショウサムソンにとっても初の重賞タイトルとなった。

 デンコウアンジュの生まれ故郷は浦河町にある磯野牧場。1961年創業という歴史ある牧場で、現在は26ヘクタールの土地に繁殖牝馬は4頭。少ない生産頭数ながらも場主の磯野欽之輔さんがていねいな馬づくりをしている。

 レースは自宅のテレビで観戦していたそうだ。「人気もなかったですし、前半は後方待機。気楽に見ていました」という磯野さんだったが、直線に大外から末脚を伸ばす愛馬に声援をおくったという。

 「直線に向いてからはドキドキハラハラ。ゴールするまで(勝利)はわかりませんでしたが、本当に嬉しい。長くお世話になっている田中オーナーにも喜んでいただきましたし、メイショウサムソンの松本オーナーからもお祝いの電話をいただきました。今の自分があるのも、長く牧場を支えてくれたオーナーの方々のおかげです。嬉しいし、ほっとしたような気分です」と話してくれた。

 母デンコウラッキーは、近隣の三嶋牧場牧場生産馬。当時、期待の大きかった凱旋門賞(G1)優勝馬マリエンバードの4世代目産駒で、1番人気に応えて初勝利をあげたものの、その後は思うような成績を残せずに引退。本馬は、その初仔だ。

 デンコウアンジュの田中オーナーは、メイショウサムソンの松本オーナーと同郷で旧知の仲。三嶋牧場とも深い信頼関係でつながれており、デンコウアンジュの祖母メイショウユリヒメもまた三嶋牧場生産で、松本好雄さんが所有していた馬だった。

 「牧場にとっては、2001年の阪神スプリングジャンプ(JG2)(優勝馬ダンシングターナー)以来です。平地重賞となると、1978年の阪神4歳牝馬特別(サンエムジョオー)までさかのぼります。ずいぶんと長くかかってしまいましたが、お世話になっている方々の馬で勝ててうれしい」と言葉を重ねた。

 この勝利で阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)、そして来春の桜花賞(G1)、オークス(G1)の切符を手中にしたが、磯野牧場生産馬が3歳クラシックレースに出走するのは1981年のオークス(トウカイマーチ)以来で、グレード制制定以降初めてのこと。

 「クラシックレースは生産者にとって夢のレースです。とにかく、無事にレースを迎えてほしい」と願っている。