重賞ウィナーレポート

2015年11月15日 福島記念 G3

2015年11月15日 福島競馬場 晴 重 芝 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ヤマカツエース

プロフィール

生年月日
2012年03月22日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:14戦4勝
総収得賞金
444,652,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
ヤマカツマリリン  by  グラスワンダー(USA)
馬主
山田 和夫
生産者
岡田牧場 (静内)
調教師
池添 兼雄
騎手
津村 明秀
  • ヤマカツエースの母、ヤマカツマリリン
    ヤマカツエースの母、ヤマカツマリリン
  • ヤマカツマリリン、ジャスタウェイを受胎している
    ヤマカツマリリン、ジャスタウェイを受胎している
  • 56頭の繁殖牝馬が過ごす放牧地がこの先にも広がっている
    56頭の繁殖牝馬が過ごす放牧地がこの先にも広がっている
  • ヤマカツマリリンが暮らす厩舎
    ヤマカツマリリンが暮らす厩舎
  • 看板
    看板

 福島開催のフィナーレを飾る「第51回福島記念(G3)」が11月15日、重馬場の福島競馬場芝2000mで行われ、中団を進んだ2番人気ヤマカツエースが最後の直線で力強く伸び、1番人気ミトラとの競り合いを制して優勝。4月のニュージーランドトロフィー(G2)以来となる重賞2勝目を飾った。

 ヤマカツエースは、新ひだか町・岡田牧場の生産馬で、父キングカメハメハ、母ヤマカツマリリン、母の父グラスワンダーという血統。

 父キングカメハメハは2010、2011年の総合チャンピオンサイアー。その後はディープインパクトに王座を明け渡しているものの12年からは3年連続2位をキープ。今年もラブリーデイ、ドゥラメンテ、レッツゴードンキなど多くの活躍馬を送っている。

 母ヤマカツマリリンも岡田牧場の生産馬。牝馬ながらに500キロを超える雄大な馬体の持ち主だった。途中、1年以上にも及ぶ休養があって園田競馬から再出発した馬だが、復帰条件を満たして5歳春にJRAへ復帰すると少しづつ力をつけて7歳になる2011年まで現役で活躍。重賞には手が届かなかったが、オープン特別2着2回含め、40戦5勝という成績を残している。

 ヤマカツエースは、そのヤマカツマリリンの初仔だ。

 岡田牧場の代表取締役岡田隆寛さんは福島競馬場まで応援に駆け付けていた。「重馬場は得意だろうと思っていましたので、雨が降ってチャンスが広がったと感じました。輸送が苦手だったのですが、パドックでは体調も良く見えていました。持久戦に強く潜在能力も高い馬なのであとは内枠さえ克服してくれたらと思っていました。」とレース前の心境を振り返った。いざスタートを切ると抜群の手応え「4コーナー辺りでは間違いなく勝ち負けできる所まで来ていましたし、手応えも十分だったので勝てるなと思いました。最後の直線で、かわすのに少し手間取ったので一瞬ヒヤッとしましたけど。勝てて良かったです」と、ホッとした表情の後に喜びの笑顔が広がった。

 牧場時代、とくに生まれたばかりの頃はスラッとした体型だったそうだ。性格は大人しくて扱いやすく、病気も怪我もない丈夫な馬だったが、今の片鱗を感じさせるような特段すごいと感じるような雰囲気も持ち合わせていなかったという。だが、日が経つにつれ優れた部分が見え始めた。

 当時のことを繁殖スタッフの林一輝さんは「ヤマカツマリリンは気性が荒く、初仔ということもあって子育てがあまり上手な方ではなかったのです。授乳を嫌がったりしていたこともありましたが、ヤマカツエースは頭が良くて怒られないようにお乳を吸うとか、母の様子を見ながら静かに馬房に入るなど、とにかく利口でしたし、スタッフによく懐いていました。離乳して自立するようになると、運動量の増加とともに体型が変わって行きました。今の活躍を見るととても嬉しいですね!」同じく繁殖スタッフの山岸雅也さんも「休養で牧場に帰って来た時は、馬体の幅も増えムキムキになっていたので驚きました。今後の活躍も楽しみにしています」と携わった同馬の成長と活躍に士気が上がっている。

 初仔がいきなり活躍した母ヤマカツマリリン、牧場にとっては貴重な存在だと岡田社長は話す。「短気なところはありますが、まだ11歳と若いですし馬体がとても良い大型馬です。種馬に似た仔を出すお母さんで、それぞれ競走能力の高さが上手く産駒に引きつがれているのではないかと思います。現在ジャスタウェイを受胎していて、当歳は父ヘニーヒューズの牡です。父に似ていてこちらも楽しみです。みんな無事に走ってくれたら良いですね。」

 次走は来年1月の中山金杯(G3)を予定しているというヤマカツエース。力強いフットワークでどんどん強くなり、更なる高みを目指して欲しい。