重賞ウィナーレポート

2015年09月05日 札幌2歳S G3

2015年09月05日 札幌競馬場 晴 稍重 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:アドマイヤエイカン

プロフィール

生年月日
2013年03月21日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
151,937,000円
ハーツクライ
母 (母父)
ペルヴィアンリリー  by  フレンチデピュティ(USA)
馬主
近藤 利一
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
須貝 尚介
騎手
岩田 康誠

 ゴール前では手に汗握るような大接戦となった今年の札幌2歳S(G3)を制したのは、ノーザンファームの生産馬であるアドマイヤエイカン。この勝利をまさに手に汗を握りながら見守っていたのが、繁殖主任の田代巧さんだった。

 「レースは札幌競馬場で応援していたのですが、ゴールの瞬間はどちらが勝ったのか分かりませんでした、しばらくしてから掲示板に数字が上がった時に、初めて嬉しさがこみ上げてきました」(田代繁殖主任)

 実は田代調教主任にとって、アドマイヤエイカンは「特別な馬」だった。 

 「産まれて間もない姿を見たときに、『この馬は凄い』と思いました。身のこなしの良さ、放牧地での柔らかい動き、重心の低い走りだけでなく、負けん気の強さもまたずば抜けていました」(田代繁殖主任)

 一年間におおよそ500頭ほどの生産馬が誕生し、その中からクラシックや重賞を沸かす優駿たちが毎年の様に輩出されるノーザンファーム。田代繁殖主任が手がけた馬の中にも、後のG1ホースは何頭もいたが、そうした名馬たちと比較しても、当時のアドマイヤエイカンはなんらひけを取っていなかった。

 イヤリング、騎乗育成とアドマイヤエイカンは順調に競走馬としての階段を上っていく中、アドマイヤエイカンの様子が気になった田代繁殖主任は、その過程ごとに担当スタッフへその時の様子を訪ねている。

 「育成先となったノーザンファーム空港牧場では、犬伏(健太)調教主任の元で管理されていたのですが、順調に調教も進んでいるだけでなく、素晴らしい動きもしているとも教えてもらいました」(田代繁殖主任)

 その評判通りに、7月に行われたメイクデビュー函館を勝利したアドマイヤエイカンは、同じ距離で行われる札幌2歳S(G3)へと出走。来年のクラシックへの登竜門ともされるレースで、2番人気という高い評価を集める。

 「自分たち繁殖スタッフだけでなく、イヤリングスタッフや育成スタッフ、そして須貝調教師や厩舎スタッフの皆さんとの連携が上手く図れたからこそ、メイクデビュー、そして重賞と最高の結果が残せたのだと思います。また、あの着差で勝てたのは岩田騎手の好騎乗というしかありません」(田代繁殖主任)

 レースの後はノーザンファーム空港牧場で調整されているアドマイヤエイカンだが、10月中旬にはノーザンファームしがらきへの移動を予定している。

 「先日、厩舎スタッフと祝勝会を行いましたが、その際に『アドマイヤエイカンにとっては、このタイトルはまだ通過点だね』との話も出ました」と田代繁殖主任は笑う。次走は京都2歳S(G3)を予定。田代繁殖主任といった関係者だけでなく、誰もがアドマイヤエイカンを「凄い馬」と認める日は、すぐそこまで来ているのかもしれない。