重賞ウィナーレポート

2015年09月06日 小倉2歳S G3

2015年09月06日 小倉競馬場 小雨 稍重 芝 1200m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:シュウジ

プロフィール

生年月日
2013年03月16日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:3戦3勝
総収得賞金
279,638,000円
キンシャサノキセキ(AUS)
母 (母父)
カストリア(USA)  by  Kingmambo(USA)
馬主
安原 浩司
生産者
浜本牧場 (門別)
調教師
橋口 弘次郎
騎手
岩田 康誠
  • 母カストリア
    母カストリア
  • 2頭の重賞ウイナーを輩出した
    2頭の重賞ウイナーを輩出した
  • 半妹の当歳(父エンパイアメーカー)
    半妹の当歳(父エンパイアメーカー)
  • 指導員が認める管理された放牧地
    指導員が認める管理された放牧地

 3連勝で小倉2歳S(G3)を制したシュウジの生産牧場は、日高町豊田の浜本牧場。

 同牧場は、安田記念(G1)を制したツルマルボーイを始め、その母ツルマルガール(朝日チャレンジカップ(G3))、カノヤザクラ(セントウルS(G2)など)、ワンモアラブウェイ(小倉大賞典(G3))、本馬の半兄ツルマルレオン(北九州記念(G3))などの重賞馬を輩出してきた実績を持つ個人牧場でもある。

 自宅で応援していた濱本泰彰社長は、「強かったですね。今までの2戦が前に行って押しきる勝ち方をしていただけに、スタートで少し出遅れたときは不安がよぎりました。しかし、早めに前に出て後続が追ってきた時に二の足を使って引き離しましたからね。」と改めて愛馬の強さを感じたようだ。

 幼駒のときは、特に目立たなかった愛馬を送り出した後、安原オーナーや橋口調教師が、ここまで強い馬に育て上げてくれた事に感謝しする濱本社長だ。

 本馬の母カストリア((USA)、母の父キングマンボ)は、濱本社長が米国キーンランドのせりで落札した馬だ。「トモがしっかりして、目に付いたのがいて、現役での成績は残していないですが、キングマンボとシルヴァーホークの肌との配合でもあるので決めました。」

 せりは初日の終わりのころで、購買者も少なく手ごろな価格で落とせたそうだ。「親父にすぐ電話を入れたら、もう一頭買えと。」

 取材に居合わせていた先代の俊則さんは、現在93歳。「すぐにもう一頭買えと言ったよ。」と、とてもお年には見えない元気な声が返ってきた。 

 その母カストリアは、浜本牧場で7頭の産駒を出し、2番仔がツルマルレオン(父ハーツクライ)、5番仔が本馬となる。

 本馬は、母の強靭なトモを引き継ぎ、内腿の筋肉を使ったダイナミックな走法で走ると濱本社長は語る。

 浜本牧場は、先代の俊則さんが、太平洋戦争に出征し、沖縄戦で終戦を迎え故郷に戻り牧場を始めた。俊則さんにとっては、G1馬ツルマルボーイを出し、牧場を支えたツルマルガール(父サッカーボーイ)に深い想い入れがあるようだ。そこには、鶴田オーナーと橋口調教師との強い信頼関係がある。

 父を支え、牧場づくりに励んできた濱本泰彰代表もまた、強い競走馬を作るために努力を惜しまなかった。日本軽種馬協会主催の軽種馬経営高度化指導研修事業に参加して馬や牧場の管理に励んできた。以前、牧場に伺った時に居合わせたケンタッキー・エクワイン・リサーチから来た指導員が「良く管理された牧場だ。」と評価して「グッドジョブ!」を繰り返していた。

 濱本社長は、今も各馬のボディコンディションを見ながら定期的に体重を測り健康管理をしている。 

 現在、牧場では20頭の繁殖牝馬を濱本社長と2名のスタッフが飼養してきたが、そこに息子さんの雅俊さんが戻ってきた。頼もしい3代目だ。 強い親子の信頼関係が、3代目に引き継がれていくことになるのだが、本馬の活躍が親子の絆を支える礎になりそうだ。

 次の大目標となる朝日杯フュ―チュリティS(G1)に向かう本馬の活躍は、浜本牧場の3代の親子に大きな夢をもたらしている。

 今、茨城など川の氾濫で大災害に見舞われているが、12年程前には、この地域も大型台風により近くに流れる厚別川の氾濫で多くの牧場が洪水に覆われ大被害を受けたところでもある。