重賞ウィナーレポート

2015年08月02日 クイーンS G3

2015年08月02日 札幌競馬場 晴 良 芝 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:メイショウスザンナ

プロフィール

生年月日
2009年04月27日 06歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:37戦5勝
総収得賞金
137,363,000円
アグネスデジタル(USA)
母 (母父)
グリーンオリーヴ  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
松本 好隆
生産者
北星村田牧場 (新冠)
調教師
高橋 義忠
騎手
松田 大作
  • グリーンオリーヴと当歳(牝、父モンテロッソ)
    グリーンオリーヴと当歳(牝、父モンテロッソ)
  • 新冠川を渡ったところに牧場が広がる
    新冠川を渡ったところに牧場が広がる
  • 整備されたエントランス
    整備されたエントランス

 秋の大舞台を目指す牝馬たちによる「第63回クイーンステークス(G3)」は、後方2番手を進んだ新冠町の北星村田牧場生産のメイショウスザンナが直線で馬群をさばくように伸びて先頭ゴールイン。デビュー37戦目で重賞初勝利。1分47秒1(良)で重賞初制覇を記録した。

 「レース当日は、所用が重なって競馬場に行くことができなかったのです。松本オーナー高橋義忠先生には申し訳ないことをしたと思っています」と言葉を選びながら話してくれたのは北星村田牧場の村田洋平さんだ。雑務に追われるなか、牧場内にある自宅テレビで勝利を確認するや、相次ぐ祝福の電話応対に追われたという。

 北星村田牧場は1946年、洋平さんの祖父にあたる村田光雄氏が分家、独立するような形で創業した。戦後間もなく混乱期。当時は、田んぼを興したり、牛の世話もしたというが少しづつ軽種馬の専業生産者へと移行したという。

 現在は本場のほかに2か所の分場に繁殖牝馬は20頭。家族とスタッフ3人で強い馬づくりに励み、その中から97年の最優秀2歳牝馬アインブライドや11年の目黒記念(G2)に勝ったキングトップガンなどを送り出している。

 「メイショウスザンナの曾祖母にあたるフェアリーテイルという馬はベルギー産馬なのですが、祖父が英国から輸入した馬です。79年のラジオたんぱ賞に勝ったホクセーミドリや関東オークスに勝ったミサトクインの母馬です。祖父から父へと受け継がれたこの血統は93年のフェブラリーH(G3)を勝ったメイショウホムラ、それから97年に阪神3歳牝馬S(G1)に勝って最優秀2歳牝馬になったアインブライドを出してくれました。ウチにとっては思い入れの強い血統です」という。そんなフェアリーテイルの血が、雌伏の時を超えて再び重賞勝ち馬を送り出したのだ。「レース当日、父は病床に伏していましたが、馬が勝ったことを知ると、とても喜んでいました」。

 牧場時代のメイショウスザンナは決して目立つ馬ではなかったそうだ。「フェアリーテイルの血統は、牧場では目立たない子が多いのです。メイショウスザンナもそういうタイプでした」という。半信半疑ながらもサマーセールに上場し、JRA日本中央競馬会に買い上げられ、JRA日高育成牧場で育て上げられてブリーズアップセールに上場。祖母メイショウスキーの馬主でもあった松本好雄オーナーと巡り会った。

 「この血統は、北星村田牧場の歴史を映し出すような血統です。こうやってまた重賞勝ち馬のファミリーとして脚光を浴びることができたのはJRAはじめ高橋義忠調教師、松田騎手、松本オーナーのおかげです。本当に感謝したい」と話してくれた。