2015年06月03日 東京ダービー(DW2015)(中央騎手騎乗)
優勝馬:ラッキープリンス
プロフィール
- 生年月日
- 2012年03月21日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/黒鹿毛
- 戦績
- 国内:12戦6勝
- 総収得賞金
- 84,070,000円
- 母 (母父)
- ウォータートスカ by オペラハウス(GB)
- 馬主
- 国田 正忠
- 生産者
- 畔高牧場 (浦河)
- 調教師
- 小久保 智
- 騎手
- 今野 忠成
『ダービーウイーク』の第4戦「東京ダービー(大井・2000m)」は、南関東3歳馬の頂点を決める一生に一度の晴れ舞台。その大一番を9番人気のラッキープリンスが制し、2着馬パーティメーカーとともに7月8日に行われる「ジャパンダートダービー(Jpn1)」への優先出走権を獲得した。両馬は同厩舎であるとともに、浦河町にある近隣の個人牧場が生産した馬という共通点もある。
ラッキープリンスの生まれ故郷は、浦河町杵臼地区に位置する畔高牧場。繁殖牝馬5頭 当歳馬3頭 1歳馬5頭を、当主の畔高稔さん1人で管理している。
人気もなかったので、気楽な気持ちでテレビ観戦していたという畔高さんは、「本当にビックリして、信じられない思いでした。あまりの嬉しさにガッツポーズを取ろうとしたタイミングで友人たちから祝福の電話が入り、ありがたかったですね。さらに翌日のスポーツ紙でも大きく取り上げられていて、改めて嬉しさがこみ上げてきました」と喜びいっぱいに話す。「父から牧場を受け継ぎ、僕の代になって初めての重賞勝ちがダービーだなんて夢のようです。こんなことはめったにないでしょうし、もしかしたら最初で最後のダービーかもしれませんね」と笑顔を見せる。
同牧場生産の母ウォータートスカにサイレントディールを交配し、4番仔として生まれてきたラッキープリンス。美しい栗毛の馬体を持つ父のイメージから、見栄えのする馬が生まれることを想像していたそうだ。「想像していたより華奢な体型に生まれて来たのですが、そのぶん安産でした。離乳したての時は、寂しさで馬房の中をグルグル回っていたこともありましたね。本来はうるさい性格だと思うのですが、僕ひとりで世話をしていたので内弁慶な一面もありました」とラッキープリンスの幼少期を振り返り、「パドックを歩いている姿を見ると、うるさい面は変わっていないですね」と苦笑いを浮かべる。
「どちらかというと、わんぱくに育ちました」という牧場時代を経て、1歳夏にサマーセールで取り引きされたラッキープリンスは、同じ浦河町の山口ステーブルで育成が施されることになった。「山口さんが馬の特徴を上手くつかみ、早く仕上げてくれました。仕上げが早いというのは、ひとつの武器だと思います」と育成者に感謝する畔高さん。山口ステーブルの山口裕介代表は、「馬に能力があるから早く仕上がりましたよ」と当時から話していたそうだ。
2歳5月に浦和・小久保厩舎からデビューしたラッキープリンスは、新馬戦から負けなしの4連勝を収め、2歳重賞、3歳クラシックの王道路線を歩むことになる。一冠目の羽田盃は惜しくも3着だったが、東京ダービーの大舞台で見事に雪辱を果たし、南関東3歳馬の頂点にのぼり詰めた。「今までは逃げ切ろうとして最後に失速してしまうケースも多かったのですが、羽田盃で控える競馬ができたのには驚きました。あのように成長できたのも、小久保先生や厩舎の皆さんの力が大きいと思います」と、調教師や厩舎スタッフにも感謝の気持ちを表した。
牧場では現在、今年生まれたラッキープリンスの半妹(父フリオーソ)が元気に育っていて、母のウォータートスカはネオユニヴァースの仔を受胎しているそうだ。ダービー馬を兄に持つ妹やお腹の仔には、畔高さんのみならず、周囲の大きな期待が集まってくることだろう。
「これからもケガをせず、元気に頑張ってほしいですね。そして更なる高みをめざしてもらいたいです」と、ダービーの勲章を届けてくれた愛馬にエールを送る畔高さん。売れる馬よりも結果を出せる馬づくりをしたいと話す実直な生産者に、ますます“ラッキー”な知らせが舞い込むことを願いたい。