重賞ウィナーレポート

2015年05月23日 平安S G3

2015年05月23日 京都競馬場 曇 良 ダ 1900m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:インカンテーション

プロフィール

生年月日
2010年03月24日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:22戦8勝
総収得賞金
434,679,000円
シニスターミニスター(USA)
母 (母父)
オリジナルスピン(IRE)  by  Machiavellian(USA)
馬主
(有) ターフ・スポート
生産者
谷川牧場 (浦河)
調教師
羽月 友彦
騎手
内田 博幸
  • 母オリジナルスピン。ゴールドアリュールを受胎
    母オリジナルスピン。ゴールドアリュールを受胎
  • 父ダイワメジャーの半弟
    父ダイワメジャーの半弟
  • 父ダイワメジャーの半弟。馬格があると評判だ
    父ダイワメジャーの半弟。馬格があると評判だ
  • 奥にインカンテーションガ育った第二分場がある
    奥にインカンテーションガ育った第二分場がある
  • 谷川牧場の看板
    谷川牧場の看板

  5月23日(土)、3回京都競馬9日目の11Rで第22回平安ステークス(G3)(ダ1900m)が行われた。内田博幸騎手騎乗の4番人気のインカンテーションはスタートし間もなく最内から先頭に立ち、4コーナーから直線に入るとさらに加速して後続を突き放し2番手クリノスターオーに1馬身3/4差をつけて逃げ切り勝ち。一昨年のレパードS(G3)、昨年のみやこS(G3)に続く重賞3勝目を飾った。

 インカンテーションを生産した谷川牧場の代表取締役谷川貴英さんは、繁殖スタッフと共に京都競馬場に駈け付けていた。「インカンテーションの状態が良いと調教師の先生などから聞いていたので期待していました。いつものように好位につけて最後に追い込む展開になるだろうと思っていたのですが、今回は意外にも逃げのレースだったのでハラハラしながらみていました。」と、当日を振り返った。最後の直線に入っても脚色は全く衰えず、後続に差をつけた勝利を目の当たりにして「まさか逃げ切るレースをするとは全く想像していなかったので、色んな引出しがある馬なんだとびっくりしましたね。勝った瞬間は本当に嬉しかった。」嬉しい驚きに喜びもひとしおだ。

 谷川貴英さんが言う「色んな引出し」とはどういうものなのか。「去年11月のみやこステークス(G3)は中団で進めて、直線に入ってから最後の400mで3頭の激しい叩き合いを制しての勝利でした。今年1月の東海ステークス(G2)はスタートで出遅れ最後方からのレースでした。普通はやる気を失いかねない形だったにもかかわらず諦めることなく一生懸命に食いついて行く姿を見せた。後方待機して残り200mで一気に追い上げての3着。

 2月のフェブラリーステークス(G1)では内田騎手に初めて乗ってもらいました。良いスタートを切った中団からのレースで、長い脚を使っての2着。最後の追い上げでは、あと50mあれば届きそうなすごい勢いの追い上げでした。そして今回の平安ステークスではまさかの逃げ切り勝ち。このレース結果を改めて観てみると、色んな競馬が出来る馬だなと思いました。追ってバテない、長い脚を使える、諦めない一生懸命な性格、自在な競馬ができる馬。いろんな引出しを持っているなと感心しました。」

 馬体も見るたびに成長を遂げている。「デビュー当時は480キロでしたが、年を重ねるごとに馬体が大きくなっています。今は500キロ近くにまで充実して筋肉もつき、ガッシリして、ダート馬らしくなってきましたよ。」その成長ぶりに笑みがあふれる。

 母オリジナルスピンはイギリスの繁殖馬セールで購入。当初から活躍を期待していた。18歳になるが今年は父ダイワメジャー似の栗毛の牡を無事出産。今はゴールドアリュールを受胎してのどかな生活を送っている。

 「今年は去年より毛ヅヤも良く元気で体調も良いようです。産駒は全てダート馬で活躍していますので、ダートのスペシャリストを作りたいと思います。」力強い誓いが逞しい。

 生産から育成まで一貫して行う谷川牧場、インカンテーションの活躍に谷川貴英さんと共にスタッフ30名の士気も上がっているようだ。「応援にはスタッフを1名連れて行っています。幼い頃から世話をしていたので活躍を間近にみると熱も入り良い刺激も受けるのではないかと思います。インカンテーションにはこれからも怪我をしないで走って欲しいと思っています。そしてサクセスブロッケン以来のG1馬になって欲しいですね。」

 次走は大井競馬場で行われる帝王賞(Jpn1)を目指す。悲願のG1獲りに向けての舞台は見えてきた。自在なレース運びでその力を見せつけて欲しい。