2015年05月05日 かしわ記念(中央交流) Jpn1
優勝馬:ワンダーアキュート
プロフィール
- 生年月日
- 2006年03月14日 09歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:44戦13勝
- 総収得賞金
- 876,306,000円
- 母 (母父)
- ワンダーヘリテージ(USA) by Pleasant Tap(USA)
- 馬主
- 山本 信行
- 生産者
- フクダファーム (三石)
- 調教師
- 佐藤 正雄
- 騎手
- 和田 竜二
南関東船橋競馬場で行われる唯一のJpn1競走「第27回かしわ記念(Jpn1)」。1番人気に推されたのは昨年のマイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)の勝馬で、今年のフェブラリーS(G1)3着ベストウォーリア。以下、2番人気には牝馬限定重賞3連勝中のサンビスタが推され、3番人気には昨年の日本テレビ盃(Jpn2)優勝でJBCクラシック(Jpn1)2着のクリソライト。名うての砂巧者が顔を揃える1戦を制したのは9歳馬ワンダーアキュート。9歳馬の平地G1/Jpn1優勝は初の快挙で、自身にとっても12年のJBCクラシック(Jpn1)、14年の帝王賞(Jpn1)に続くJpn1競走3勝目。5年連続通算7つ目の重賞タイトルとなった。
レースはフジノウェーブ記念を制して意気上がるセイントメモリーの積極的な逃げではじまった。それを追う2番手はベストウォーリアと、昨年の東京ダービー馬ハッピースプリント。セイクリムズンとサンビスタが好位グループを形成し、それらを見るような位置でワンダーアキュートと、やや離れてクリソライトが続く展開。マイル戦らしくよどみないペースで流れ、3~4コーナーではベストウォーリアが先頭にたって、これを追いかけるようにハッピースプリントとワンダーアキュートが続く。4コーナーで外に膨らみながらもハッピースプリントが先頭に立とうという瞬間、間を割るように鋭く伸びたのがワンダーアキュートだった。2着には差し返したベストウォーリアが入って、地方勢の期待を背負っていたハッピースプリントは最後力尽きて3着となった。
ワンダーアキュートを生産したのは新ひだか町のフクダファーム。毎年の生産頭数は約10頭。それを家族で世話をしながら強い馬づくりに励んでいる。同ファームの福田真一さんは「ちょうど種付け、出産シーズンの最盛期でもあり、自宅テレビで応援していました。何しろ9歳馬ですから、レースの前は勝ち負けよりも無事に走ってほしいという思いの方が強かったです」と言い「この結果には本当にびっくり。仕上げてくれた佐藤先生、和田ジョッキー、頑張ってくれる馬には、本当に頭が下がる思いです」と喜んでいる。
牧場時代のワンダーアキュートは「おとなしい馬でした。兄のワンダースピードが気の強い馬でしたから、余計にそう感じるのかもしれませんが、牧場時代に手を焼いた記憶はほとんどありません」という。その後は、浦河町の吉澤ステーブルに移動し、3歳1月にデビュー。3歳秋には古馬相手にシリウスS(G3)、武蔵野S(G3)に連勝するなど早くから頭角を現して同年のジャパンカップダート(G1)には重賞4勝(=当時、通算5勝)の半兄ワンダースピードとともに出走。話題となった。
残念なことに2頭の重賞勝馬を出した名牝ワンダーヘリテージは昨年2月に病気のために死亡してしまったが、現在フクダファームにはワンダーグラス(父グラスワンダー)とワンダーフロレゾン(父アルデバラン)の2頭がが後継繁殖牝馬として牧場に戻っているほか、ワンダーグラスの娘ワンダーアムレットも初仔となるゼンノロブロイの牝馬を無事に出産している。
福田さんは「ワンダースピードは少ない産駒ながらも活躍馬を出してくれています。いつの日か、ワンダーアキュートも種牡馬として血を残せるようになってほしいし、牧場にいる牝馬たちからたくさんの活躍馬を出して、この血統を大切にしていきたい」と夢を広げている。
ワンダーアキュートの次走は、順調ならば6月24日の帝王賞(Jpn1)が予定されている。これまでにフリオーソとチャンピオンスターの2頭が同レース2勝をあげているレースだが、連覇というのは一度もない。史上最高齢Jpn1勝利を記録したワンダーアキュートが、再び偉大な記録を打ち立てられるかも注目のレースになりそうだ。