重賞ウィナーレポート

2015年04月23日 東京プリンセス賞(GDJ)

2015年04月23日 大井競馬場 晴 稍重 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ティーズアライズ

プロフィール

生年月日
2012年05月05日 03歳
性別/毛色
牝/栗毛
戦績
国内:12戦3勝
総収得賞金
38,860,000円
ワイルドラッシュ(USA)
母 (母父)
ナムラエラン  by  アグネスタキオン
馬主
立山 伸二
生産者
杵臼牧場 (浦河)
調教師
嶋田 幸晴
騎手
矢野 貴之
  • ティーズアライズの母ナムラエランと、今年生まれた当歳馬(牡、父メイショウサムソン)
    ティーズアライズの母ナムラエランと、今年生まれた当歳馬(牡、父メイショウサムソン)
  • 母ナムラエランは今年で10歳。これまでに5頭の産駒を出産している
    母ナムラエランは今年で10歳。これまでに5頭の産駒を出産している
  • 左から杵臼牧場の鎌田信一社長、増子孝行さん、鎌田正信さん
    左から杵臼牧場の鎌田信一社長、増子孝行さん、鎌田正信さん
  • 杵臼牧場のテイエムオペラオーハウス
    杵臼牧場のテイエムオペラオーハウス
  • 母ナムラエランが暮らす杵臼牧場の厩舎
    母ナムラエランが暮らす杵臼牧場の厩舎
  • 杵臼牧場の看板
    杵臼牧場の看板

  グランダム・ジャパン3歳シーズン第5戦は、南関東牝馬クラシック二冠目となる「東京プリンセス賞(大井)」。7番人気のティーズアライズがスムーズに折り合って3番手の好位でレースを進め、直線入り口で先頭に立つと、そのまま押し切って優勝。6月10日に行われる「関東オークス((Jpn2)、川崎)」への優先出走権を獲得した。

 ティーズアライズは、父ワイルドラッシュ、母ナムラエラン(母の父アグネスタキオン)という血統。父のワイルドラッシュは現役時代、アメリカで16戦8勝。G1を2勝し、イリノイダービー(G2)ではダート9Fのコースレコードをマークした。1999年にアメリカで種牡馬入りして2004年に日本へ輸入され、トランセンドやパーソナルラッシュなどの活躍馬を送り出してきた。一方の母ナムラエランはJRAで6戦1勝。4歳で繁殖入りし、3番仔としてティーズアライズを産んでいる。

 ティーズアライズは1歳時にHBAサマーセールに上場され、189万円(税込)で取り引きされた。昨年5月に門別競馬場でデビュー勝ちを収め、日本一早い2歳重賞「栄冠賞(門別)」を制覇。夏にはJRA北海道シリーズの「函館2歳S((G3)、函館)」や「すずらん賞(札幌)」で芝のレースを経験し、秋には「エーデルワイス賞((Jpn3)、門別)」「ローレル賞(川崎)」と2歳牝馬の王道を歩んだが結果が出ず、ホッカイドウ競馬のシーズン終了と同時に大井へ移籍。すると、暮れの「東京2歳優駿牝馬(大井)」でララベルと火の出るような叩き合いを演じてハナ差の2着に入った。3歳シーズンもJRAの「クイーンカップ((G3)、東京)」へ果敢に挑戦するなど、常に高いレベルで戦ってきた経験が今回の勝利に活かされたのだろう。

 「出走するのは知っていたのですが、タイミングが合わずにリアルタイムで観られなかったんです。携帯で結果を調べて勝利を知り、帰宅してからインターネットで改めてレースを観たのですが、ドキドキしましたね。後ろからスターローズが追い込んで来ていたので、思わず『粘れ!』と応援してしまいましたよ(笑)」と当日の様子を話してくれたのは、杵臼牧場の若き代表取締役・鎌田正信さん。「2歳時に北海道で走っていた頃は、レース中にちょっとぶつけられただけで走るのをやめてしまうような所がありました。大井に移ってから精神面が鍛えられたようで、気力と根性で走っている姿を見ると、その成長を嬉しく思います」と感慨深そうに話す。「さらに力をつけて、交流戦などに出られるようになったら嬉しいですね」と夢を託す。

 母のナムラエランが生活する厩舎担当スタッフの増子孝行さんも携帯で結果を知り、「あれっ? 勝ってる! 勝っちゃった!」と喜びの声を上げたそうだ。「昨年の栄冠賞は後方から追い込んでの差し切り勝ちだったので、同じ戦法で行くのかなと思っていたら、今回は前方についていたので、こういう競馬もできる馬なのか…と新たな発見もあり、改めて『強い馬だな!』と感じました」と、晴れやかな笑顔をみせる。「次走についてはまだわかりませんが、関東オークス((Jpn2)、川崎)あるいは東京ダービー(大井)という選択肢もあり、どちらにしても楽しみですね」と期待を膨らませる。

 母ナムラエランは今年10歳。今春、父メイショウサムソンの牡馬を無事出産し、子育てに奮闘中だ。「上の4頭は母似なのですが、この仔だけは父のメイショウサムソンに似ています。身体もしっかりしていますし、姉のティーズアライズが活躍してくれているので、将来の楽しみが増えました」と増子さん。

 杵臼牧場の代表生産馬といえば、なんといってもテイエムオペラオー。その全競走生活において一度たりとも掲示板を外すことなく、飛び切りの安定感を感じさせる馬だった。特に才能が爆発した2000年には、天皇賞(春)(G1)、宝塚記念(G1)、天皇賞(秋)(G1)、ジャパンカップ(G1)、有馬記念(G1)のG15勝を含む8戦8勝という離れ業をやってのけ、JRA賞年度代表馬に輝いた。その偉大な先輩につづく活躍馬を送り出すべく、杵臼牧場のスタッフは一丸となって強い馬づくりに励んでいる。

 「ティーズアライズには、みんなに愛される馬になって欲しいです。そして無事に競走生活を終えた暁には、牧場に戻って健康な繁殖牝馬になり、血を繋いでいってくれたら良いなと思っています」と口を揃えるスタッフ。同世代で最も早く重賞馬となったティーズアライズの走りに、今後も注目していきたい。