2015年04月05日 ダービー卿ChT G3
優勝馬:モーリス
プロフィール
- 生年月日
- 2011年03月02日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:10戦5勝
- 総収得賞金
- 536,246,000円
- 母 (母父)
- メジロフランシス by カーネギー(IRE)
- 馬主
- 吉田 和美
- 生産者
- 戸川牧場 (門別)
- 調教師
- 堀 宣行
- 騎手
- 戸崎 圭太
安田記念(G1)を目指す古馬マイラーによる第47回ダービー卿ChT(G3)は日高町の戸川牧場生産のモーリスがレースレコードを叩き出す圧倒的な強さで、重賞を初制覇した。やや飛び上がり気味のスタートで、道中後方からの競馬となったが、直線に入ると並ぶ間もなく他馬を交わし、2着に3 1/2馬身差をつけて勝利した。
モーリスの産まれ故郷戸川牧場は2011年の平安S(G3)や2010年アンタレスS(G3)を勝ち、現在種牡馬となっているダイシンオレンジを輩出した牧場といえば記憶に新しいのではないだろうか。時々御両親に支えてもらいながらも、夫婦二人で8頭の繁殖牝馬を管理する生産牧場だ。
代表の戸川洋二さんと晴恵さん夫妻は、出産シーズン中だったこともあり、レース当日は自宅のテレビ前で声援を送っていた。「交わしてくれるとは思っていたけど、あんなに突き放すとは…」と、洋二さんにとっても想像以上の嬉しい勝ち方だったようだ。晴恵さんも「うちの馬かな?と思うぐらい強くて、本当にびっくりしました。」と、顔をほころばせた。
強い馬をつくるための洋二さんのこだわりの一つに、配合がある。本馬の父は今や絶好調、当時は新種牡馬だったスクリーンヒーロー。体が小さい母メジロフランシスの馬格を、ストライドの大きさでカバーし、さらに、ゴール前の接戦でも頑張れる気性の馬を…と選ばれた。こうして誕生したモーリスが見せるゴール前の豪脚は、洋二さんの思惑がぴったりはまった配合と言えるのではないだろうか。
1歳の6月頃までを当牧場で過ごした本馬。レース後のジョッキーコメントなどでもしばしば話題に上る気性の持ち主である。さぞかし、エピソードたくさんの仔馬時代を過ごしたであろうと予想していたが、「ケガもないし順調で、記憶にない程大人しかったんです」と笑う洋二さん。しかし、牧場を移動する直前頃から、急に我の強い面を見せ始めたのだという。それは、牧場を移動する前、最後の削蹄を行う際に起きた。それまで問題なくさせていた削蹄なのに、鼻ねじを30分程もとらせてくれなかったのだという。「削蹄師さんを待たせてしまっているし、今日はもう削蹄できないかと諦めかけていました。でも最後にはちゃんと言うことを聞いてくれました。」と晴恵さんが優しい目で振り返る。当時の焦った様子を思い出してうなずき合っているお二人の姿からも、その印象深さが伺えた。
今年牧場では、そのモーリスの全弟が誕生した。洋二さんは「既に兄弟の中で一番やんちゃですが、良い仔が産まれました。」と嬉しそうな顔で言う。放牧地で元気いっぱいに走る仔馬の姿は、兄同様に大きめで、しっかりとした馬体が目を引く。将来が楽しみだ。その隣には、まるで息子を自慢するかのように誇らしげな表情をした母馬メジロフランシスが立つ。「人間に少々キツイ態度を見せることもありますが、お産では手がかからないし、子供を大事にする優秀な繁殖です。」
現在3連勝中。そして手にした重賞タイトル。勢いに乗り、今後更なる高みへと進んでいくだろうモーリスへ、戸川夫妻は「長く応援したいので、ケガなく丈夫に活躍してほしいです」と故郷から声援を送る。