重賞ウィナーレポート

2015年02月28日 アーリントンC G3

2015年02月28日 阪神競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ヤングマンパワー

プロフィール

生年月日
2012年04月14日 03歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
220,627,000円
スニッツェル(AUS)
母 (母父)
スナップショット  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
星野 壽市
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
手塚 貴久
騎手
松岡 正海

   過去3年の勝ち馬が全てG1馬となっているアーリントンC(G3)。今年、この出世レースを制したのは、9番人気の低評価をはね除けたヤングマンパワーだった。

   ヤングマンパワーはノーザンファームで産まれ、騎乗育成を手がけたのはノーザンファーム空港牧場。実は今年の共同通信杯(G3)を制したリアルスティールと同じ育成スタッフだった。

   「厩舎のみんなとも、3歳のこの時期に2頭も重賞馬を送り出せたのは凄いことだと喜んでいますし、牧場(ノーザンファーム空港牧場)を離れていても、充実感のある勝利でした」とは、ノーザンファームしがらきの今井翔一さん。今井さんにはリアルスティールが重賞を制した際にも喜びの声を聞かせていただいている。

   ヤングマンパワーはスニッツェルの産駒としては、日本で初の重賞馬となったわけだが、初年度産駒のルリニガナが函館2歳S(G3)で3着、レオパルティナが昨年の小倉2歳S(G3)で2着と、産駒はスプリント適性が高いようにも見受けられる。

   「それほどスニッツェルの産駒に接してきたわけでは無かったので、血統的なイメージは強く持っていなかったのですが、厩舎に来た頃から馬格も恵まれていましたし、折り合いの付く走りからしても、距離適性は広そうだと思っていました」(今井さん)

   ただ、この頃のヤングマンパワーは弱い面も見られた上に、6歳で連勝を果たした母スナップショットの活躍にも証明されているように、晩成の成長曲線を歩む血統であることも考慮され、馬の良化に合わせた調教が行われていく。デビューは2歳の12月となったが、そのメイクデビュー中山を鮮やかな末脚で勝利すると、続くオープンのジュニアCでは、スタートで後手を踏みながらも、一歩一歩前を行く馬との差を詰め、勝ち馬とは同タイムの3着に入る。

   「ジュニアCのレースを見ていて、距離、そしてクラスの目処が立ったと思いました。このアーリントンCでは、戦前の評価がそれほど高くなく、前走の内容からしてもそんな馬じゃないと思いながら応援していたので、勝った時には格別でした」(今井さん)

   レースの次の日、スポーツ新聞でヤングマンパワーの記事を見ていた今井さんに、嬉しい言葉が目に入ってきた。その記事には鞍上を務めていた松岡正海騎手から、『アルフレード(朝日杯FS(G1)優勝)に似た背中がある』と書かれていたのだ。

   「アルフレードもまた、自分がいた育成厩舎で調教を行ってきた馬です。同じ手塚(貴久)先生の厩舎、そしてデビュー戦で手綱を取ってもらったのも松岡騎手という共通点もあります。松岡騎手からそんな言葉を聞いたのなら、ヤングマンパワーのこれからの活躍を、ますます期待せずにはいられなくなりますよね」(今井さん)

   アーリントンC勝ち馬のジンクスに加えて、アルフレードにも似た乗り味。ヤングマンパワーのG1制覇の可能性は、ますます高まったと言えそうだ。