重賞ウィナーレポート

2015年01月24日 京都牝馬S G3

2015年01月24日 京都競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ケイアイエレガント

プロフィール

生年月日
2009年03月28日 06歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:29戦7勝
総収得賞金
210,135,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
ポストパレード(USA)  by  A.P. Indy(USA)
馬主
亀田 和弘
生産者
松田牧場 (静内)
調教師
尾形 充弘
騎手
内田 博幸
  • 母ポストパレード
    母ポストパレード
  • 父の三千雄さんと息子の大地さん
    父の三千雄さんと息子の大地さん
  • 1番古い厩舎
    1番古い厩舎
  • 牧場入口にある看板ときれいに整理されている庭
    牧場入口にある看板ときれいに整理されている庭

 ヴィクトリアマイル(G1)に向けた春の牝馬古馬重賞路線の最初のステージとなる第50回京都牝馬ステークス(G3)が24日に京都競馬場で行われ、内田博幸騎手騎乗のケイアイエレガントが、9番人気の低評価を覆し見事な逃げ切り勝ちをおさめた。昨年の福島牝馬ステークス(G3)以来の勝利で、重賞2勝目となった。

 本馬の生産は、新ひだか町静内の豊畑地区にある松田牧場。一昨年に代表を引き継いだ息子の大地さんと父の三千雄さん、そして2名のスタッフで15頭の繁殖馬を管理する生産牧場だ。

 テレビでレースを観戦していた大地さんは「まさか、あそこまで逃げ切れるとは思っていませんでした。最後詰め寄られはしましたが、4コーナーで後続を離したのを見た時、もしかしたら残れるかもしれないと思いました。人気もなかったですし、調子も絶好調まではまだ上がっていないと聞いていたのに。改めてこの馬の力は凄いと感じました。騎手も上手く乗ってくれました。」と顔を綻ばせた。オーナーや調教師とも電話で喜び合うことができたそうだ。

 当牧場の歴史は、昭和25年頃に祖父の文雄さんが知人に世話をしてもらった1頭のアラブから始まったという。それ以前はこの地で酪農や畑作などを営んでいた。「叔父が厩務員だった関係で、故・稲葉幸夫調教師とのご縁が広がりました。そこから河野一郎さんの馬をお預かりし那須野牧場さんとの繋がりができるなど、様々な方にお世話になりサラブレッドの数が徐々に増えていきました。稲葉厩舎の縁で預けて頂いた牝馬レデースポートから産まれたのが1981年のオークス馬テンモンです。お蔭様でありがたい縁故に恵まれました。」と父の三千雄さんが穏やかな口調で話して下さった。当牧場ではテンモンの他にも1990年の小倉大賞典馬ミスターヤマノ、2012年新潟2歳ステークス馬ザラストロなどの活躍馬が送り出されている。

 当歳の秋までここで育ったケイアイエレガント。「半兄(ケイアイライジン)がダービー(Jpn1)に出走していますし、血統が良いので期待していました。丈夫だったことは間違いないですが…順調すぎて何のエピソードもないんです」と松田さん親子は揃って笑う。今では「立派になった」とお二人が感慨深げに話す馬体も、当時は目立って大きかったわけではないそうだ。

 本馬の母ポストパレードは、馬格があり少々気性が勝っているタイプだという。どちらかと言えば父似の産駒を出すが、平均してがっちりした仔が多いそうだ。本馬がレースで見せる大きなストライドのダイナミックな走りは、母親譲りのようである。

 牧場入り口付近にある雪の残る庭では、植木がきれいに刈り込まれている。95歳を超えた大地さんの祖母が自ら、今でも草むしりや庭木の手入れを行っているという。こうした元気なパワーが馬たちにも伝わっているのではないだろうか。

 ケイアイエレガントの次走は、中山牝馬ステークス(G3)を予定している。「6歳だし、1戦1戦無事に健康に走ってくれれば…」故郷からのエールが本馬を後押ししてくれることだろう。