2015年01月18日 日経新春杯 G2
優勝馬:アドマイヤデウス
プロフィール
- 生年月日
- 2011年06月06日 04歳
- 性別/毛色
- 牡/栗毛
- 戦績
- 国内:9戦4勝
- 総収得賞金
- 262,324,000円
- 父
- アドマイヤドン
- 母 (母父)
- ロイヤルカード by サンデーサイレンス(USA)
- 馬主
- 近藤 利一
- 生産者
- 辻 牧場 (浦河)
- 調教師
- 橋田 満
- 騎手
- 岩田 康誠
第62回日経新春杯(G2 芝2400m)は18日、京都競馬場で行われ、18頭中6番人気だった4歳馬のアドマイヤデウスが2分24秒8で重賞初制覇を飾った。道中は内らち沿いの中団を追走、直線に入ると岩田騎手が最内に導き鋭く末脚を伸ばして鮮やかに突き抜けた。
この日、同馬を生産した浦河町の辻牧場で場長を務める藤沢義幸さんは繁殖スタッフと共にテレビの前でレースを見守っていた。骨折明けで久しぶりのレースだったため、レース勘は戻っていないだろうという事もあり、無事にゴールをきってくれれば良いという思いで気持ちを楽にして観戦していたという。ところが4コーナーで岩田騎手がスッと内に入ると馬自身の闘争心に火がついたように見えた。「あの場面は、岩田騎手とデウスの呼吸が絶妙にピタッと合い見事でした。前にはアドマイヤフライトも頑張って残っていたのですが、外から良い脚で伸びて来ていた馬もいましたので最後の最後まで気が抜けなかったです。直線に入り更にもうひと伸びしゴールを切ったのを見届けて、やっと勝利したんだという実感がわきました。」とブランクをものともしない復活に明るい笑顔でレースを振り返った。
父アドマイヤドンは不敗の2歳チャンピオンで、のちにJBCクラシック(G1)3連覇。芝、ダートで7つのG1競走に勝っている。16歳になる母ロイヤルカードは、アドマイヤホープやアドマイヤフジを産んだアドマイヤラピスの後継者として大切にされている。「配合した種馬を上手く引きだしながら、どこかにサンデーサイレンスを出した子を生むとても良い馬です。とにかく食べる事が好きで食欲旺盛なんですよ。」と藤澤場長は教えてくれた。
この配合について、辻助マネージャーは「もともと合うと思っていましたが、イメージ通りになりました。生まれた時は美しく良いサラブレッドでした。その後も順調に育ち、放牧地では元気に走り回っていました。」と話す。期待の母ロイヤルカードは、現在ルーラーシップを受胎、春に備えている。
繁殖スタッフの大野康一さんはアドマイヤデウスが生まれた時からずっと「この馬は走るよ」と周りのスタッフに言い続けていたそうだ。その理由について「上のアドマイヤドバイも身体が柔らかい馬でしたが、デウスは身のこなし、馬体の柔らかさがずば抜けていました。」藤沢場長も「良い馬が生まれたなと思いました。脚長だったため、ひ弱そうに見える部分もありましたが馬体が良く柔らか味がありました」という期待馬だった。
辻牧場は競走馬生産牧場で、繁殖牝馬約50頭、そのうち約40頭が受胎している。生まれて3日頃から馴致をはじめ、馬体のどこを触っても驚いたり嫌がったりしないようにするのだという。「当歳の時に、自然に遊んで人間とのスキンシップ、コミュニケーションを覚えてもらうのです。1頭1頭丁寧に時間をかけて教えています。慣れて来た馬は、脚にポンっと触れるだけでサッと脚を上げる事が出来るようになります。」(藤沢場長)気が遠くなるような手間と時間をかけて妥協すること無く大切な時期に大切な事を教え育てて来た馬が、活躍する姿を見るのは格別なものだろう。「スタッフは皆、更なる高みを目指しています。飛躍の年になるよう、丁寧な仕事をして行きます。デウスには、怪我をしないで無事にいて欲しいですね。橋田厩舎サイドがとても一生懸命やってくださっているので期待し応援しています。」(藤澤場長)
辻助マネージャーにアドマイヤデウスの今後の予定を聞くと「状態を見ながらになるとおもいますが、天皇賞を目指したいですね。これからも関わった諸々の方々に口をとってもらえるような、丈夫で目指すレースに出走できる馬を作って行きたいと思っています。」と力強い答えが返ってきた。春の陣が待ち遠しい。