2015年01月11日 シンザン記念 G3
優勝馬:グァンチャーレ
プロフィール
- 生年月日
- 2012年02月27日 03歳
- 性別/毛色
- 牡/青鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦2勝
- 総収得賞金
- 282,356,000円
- 母 (母父)
- チュウオーサーヤ by ディアブロ(USA)
- 馬主
- 松本 俊廣
- 生産者
- 中央牧場 (新冠)
- 調教師
- 北出 成人
- 騎手
- 武 豊
近年の勝ち馬からジェンティルドンナやミッキーアイルといったG1馬を送り出している伝統の一戦、シンザン記念(G3)。2、3着馬とアタマ、ハナ差の接戦を制したのは、早めのスパートから長く良い脚を使った2番人気のグァンチャーレだった。前が壁になり、脚を余した前走東スポ杯2歳S(G3)の鬱憤を晴らすように、鮮やかな初重賞制覇。父スクリーンヒーローにとっても産駒重賞初勝利となった。
グァンチャーレの故郷は、新冠の中央牧場。現在の木村純代表で三代目となる歴史の古い牧場だ。過去にはグレード制導入前、1972年の宝塚記念を制したシヨウフウミドリや中山大障害を四連覇したグランドマーチス、1991年のNHK杯(G2)2着馬カミノスオードなどを生産。生産と同時に種牡馬事業を行っていた時期もあり、カブラヤオーやその父フアラモンドを繋養していた。現在は繁殖牝馬10頭を抱える生産牧場として、木村代表と従業員3人で牧場を切り盛りしている。
レース当日は厩舎の休憩室で一人テレビ観戦をしていたという木村代表。敷地内にある自宅には近隣の牧場スタッフも応援に駆けつけ、賑やかにしていたそうだ。「レースが終わったら馬入れしようと思って、作業をしながら。返し馬はいい感じでしたし、ちゃんとゲート出てくれよ、前走と同じ轍は踏んでくれるなよとドキドキしながら見ていました。直線で逃げ馬を捉えた辺りからもう叫びっぱなしでしたよ。着差的には際どい勝ち方かも知れませんが、追い込んできた馬をしっかり封じ込めて完勝でしたね」と満面の笑み。ゴール直後からお祝いの電話が鳴り止まず、携帯電話片手に馬入れ作業を行ったそうだ。
グァンチャーレの母、チュウオーサーヤは牧場名義で走り、JRAで1勝をあげた。「競走馬名を考えていた時に、親戚の子供がサーヤサーヤと言っているのを聞いて、可愛い名前だなと思い名付けたんです。デビューした後に当時の紀宮清子内親王の愛称がサーヤだと知り、初勝利をあげた日が天皇賞当日ということでメディアに取り上げられたこともあったんですよ」となにかと注目されていた母のエピソードを教えてくれた。
5番仔として誕生したグァンチャーレは母そっくりの青鹿毛馬。とにかくヤンチャで生傷の絶えない幼少期を過ごしていた。
「昼夜放牧をしてもまだまだ体力が余っているような、とにかくタフな馬でした。人に捕まるのが嫌で、母親と一緒に逃げ回って集牧するのが大変だったんです。1歳夏、サマーセールの一ヶ月前にコンサイナーに預けましたが、向こうも大変だったと思います」と笑った。
2013年のサマーセールに上場され、一度は買い手がつかなかった。自分たちで使おうか?と相談している最中に再上場の依頼を受け、無事210万円で落札に至った。今年の牡馬クラシック戦線に名乗りを上げている馬の中でも、安価な部類に入るであろうグァンチャーレ。老舗牧場が送り出したニューヒーローがターフを席巻する姿を期待したい。