2014年12月17日 全日本2歳優駿(中央交流) Jpn1
優勝馬:ディアドムス
プロフィール
- 生年月日
- 2012年01月24日 02歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:6戦3勝
- 総収得賞金
- 128,926,000円
- 母 (母父)
- マイネランデブー by アグネスデジタル(USA)
- 馬主
- ディアレスト
- 生産者
- ビッグレッドファーム (新冠)
- 調教師
- 高橋 裕
- 騎手
- 三浦 皇成
現存する地方競馬の重賞競走の中で最も歴史が長く、名実ともに2歳ダート最強馬決定戦として位置付けられている「第65回全日本2歳優駿Jpn1(1600m ダート統一G1)」が2014年12月17日、川崎競馬場で行われた。勝ったのは、新冠町のビッグレッドファームが生産したディアドムス。スタートして間もなく落馬寸前の不利をこうむったものの立て直して先団のうしろでレースを進め、最後の直線での競り合いを制して1分45秒3で優勝。前走の北海道2歳優駿(Jpn3)に続く重賞連勝で、G1初制覇を果たした。
ディアレストの高樽秀夫社長はレース前、三浦皇成騎手に「普通の競馬で楽しんで来てほしい」と送り出したそうだが、スタートして間もなく落馬寸前の不利。しかし、ディアドムスは、そこから巻き返して先頭でゴールをきった。「普通の2歳馬なら、気持ちが萎えてしまうところですが、落ち着いていましたし、戦意喪失しないで残ったところは評価できると思います。精神面で良い部分を見る事が出来ました。」そして「レース後はたくさんの方から祝福のお花や連絡を頂き感謝していますし、息子(優也さん)が牧場に帰ってきた年にこういう結果を残せたのも嬉しい」と喜びの笑みがこぼれた。
ディアドムスは2013年サマーセールにて315万円でディアレストが落札した。「背は低かったのですが、トモの運び、前脚の動き、首さしなどの動きが本当に良かったんです。祖母のノーザンドライバーに力を加えたような感覚を持ちました。良い馬を買えて良かったと思っていましたが、こんなに丈夫だとは想像できませんでしたよ、ハードな輸送にも耐えて食欲も旺盛なんです。」高樽社長自ら見つけ出したダイヤの原石、まだまだ磨きをかけて更なる上を目指している。
同馬を育成したディアレストクラブは、浦河町で競走馬育成牧場を営んでいて創業20年になる。牧場に隣接するBTC(軽種馬育成調教センター)の広大な施設をふんだんに利用し、今までにも2004年京王杯2歳S(G2)を勝ったスキップジャックや中央、地方の両レースで活躍したディアヤマト、2009年フローラS(Jpn2)に勝利したディアジーナなど数々の名馬を育てあげてきた。その育成調教には定評があり、日高管内4か所で牧場を経営、繁殖から中期育成までを手掛け、スタッフ30名、育成馬は100頭にものぼる。
同馬の育成にも携わっていた高樽優也さんは「性格は普段はおっとりしているのですが調教になると真面目で一生懸命やっていました。体を大きく使って走るので調教後は腹帯の位置が後ろにずれていることが多々あり、成長力がすごいなと当時から感じていました。当歳、1歳と、えりも町のかなり広い放牧地で夜間放牧されていたことで、体も精神力もきっちり鍛えられたのでしょう。今回G1初勝利してくれた事でスタッフも牧場も活気づいて嬉しいです。」と愛馬について語ってくれた。
今後の予定について高樽社長は「牧場に連れて帰ってきて一息入れ、春から始動します。ひとたたき後にレパードS(G3 新潟 ダート1800m)やチャンピオンズC(G1 中京 ダート1800m)を目指して行こうと考えています。前走から全日本2歳優駿にかけて、トモがすごく発達して体がガラッと変わってきているんですよ。キレがある動きやしぶとさなど、アドマイヤドンに似てるなと思っているので、ああいう馬に育てあげたいです。良いプランニングができるんじゃないかな。」ディアレストクラブの育成調教のモットーを訪ねると「馬達には色々勉強させてもらっていますので、毎回感謝の気持ちを忘れないようにしています。蹄、飼い葉、体調など成長を妨げないように気を配る事、予防しながら馬の邪魔をしないという事が私共の考えです。20年のキャリアを生かして更に高みを目指して行きたいです。」と頼もしい言葉が返ってきた。
ディアドムスのドムスとは、故郷という意味なんだそうだ。将来、種牡馬となって故郷に帰って来てまた新しい物語を作ってほしい。そんな願いを込めてつけられた温かい名前。これからどんなサクセスストーリーを魅せてくれるのか、春の始動が待ち遠しい。