2014年11月08日 ファンタジーS G3
優勝馬:クールホタルビ
プロフィール
- 生年月日
- 2012年04月04日 02歳
- 性別/毛色
- 牝/栗毛
- 戦績
- 国内:5戦2勝
- 総収得賞金
- 41,563,000円
- 父
- マツリダゴッホ
- 母 (母父)
- プラセール by ヘクタープロテクター(USA)
- 馬主
- 川上 哲司
- 生産者
- 畠山牧場 (静内)
- 調教師
- 清水 久詞
- 騎手
- 小牧 太
来春の桜花賞戦線を占なう重賞な1戦「第19回ファンタジーS(G3)」は、新ひだか町の畠山牧場生産で14番人気だったクールホタルビが最低人気をあざ笑うかのように、直線で抜け出して優勝。強い内容で、クラシックの出走権利を手中にした。
この快挙に、本馬を生産した畠山牧場の畠山重博社長は「こんなこともあるのですね。」と穏やかな笑顔を見せる。人気があまりなかった事もあり競馬場まで応援に行かなかったが、「今年の秋競馬は思いがけない馬が勝っている」と期待を込めて自宅で応援。本馬が最後の直線で抜け出てからは立ち上がって手を叩き叫んでいたという。畠山牧場にとってはアルコセニョーラ(2008年新潟記念(G3))以来6年振りの生産馬のJRA重賞制覇となった
畠山牧場は、静内町で最も奥に位置する農屋地区にある。先代の父勝馬さんが入植して牧場を築き、長男で、現社長の重博さんが引き継いできた。畠山さんのファミリーは、弟の重則さんがJRA調教師、和明さんは日高のシンボリ牧場で場長を勤めるなどホースマン一家だ。
繁殖牝馬をけい養し、繁殖活動を行っている農屋の本場、分場のほか、静内川を挟んだ豊畑地区にはトレーニングセンターを持っている。ここは1周1020mのダート周回コース、850m勾配2.6%の屋根付坂路コース、ウォーキングマシーン等を備える充実した施設だ。本場で生産し、離乳後はトレーニングセンターに移して、夜間放牧、馴致、トレーニングなどを行う。現在、これらの仕事の多くは重博社長の長男史人さんが担っているという。
クールホタルビも、昨年、この施設で鍛えられ、北海道市場サマーセール1歳に上場。育成に定評のある浦河町のチェスナットファームに落札されたのちに、川上オーナーの所有馬となった。
本馬を出産時から育ててきた長男の史人さんは、「幼駒の頃から牝馬のわりにはトモが大きくしっかりとしていました。気が強く仲間の馬たちの中ではボス的な存在でしたね。」と振り返る。嬉しさのなかに、愛馬の快挙に立ち会えなかったことは、やはり残念そうだ。
本馬の母、プラセール(父へクタープロテクター)は、門別地区にある牧場の生産馬で現役引退後に畠山牧場に繁殖入りした。8頭の産駒を儲けたが、畠山牧場で8頭の産駒を生んだが、クールホタルビが最後の子どもとなる。現在は、親戚の牧場に移動し繁殖生活を続けており、半弟の1歳(父ハイアーゲーム)、半妹の当歳(父マヤノトップガン)がいる。母プラセールは世話になった畠山牧場へ本馬を最後の置き土産として残したようだ。
来年のクラシック戦線への楽しみも増えた牧場だが、畠山社長は「今年、うちの生産馬は市場でも良く売れましたし、競馬場でもそこそこに走ってくれています。そして、この重賞制覇。何かが流れを私に向けている様な気がします。」と感謝する。
畠山社長はこれまで数々の要職を歴任し、馬産界に限らずに日高に尽くしてきた。そんな畠山牧場の重賞優勝を周囲の人たちも自分のことのように喜んでいる。