重賞ウィナーレポート

2014年11月09日 みやこS G3

2014年11月09日 京都競馬場 曇 良 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:インカンテーション

プロフィール

生年月日
2010年03月24日 04歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:18戦7勝
総収得賞金
434,679,000円
シニスターミニスター(USA)
母 (母父)
オリジナルスピン(IRE)  by  Machiavellian(USA)
馬主
(有) ターフ・スポート
生産者
谷川牧場 (浦河)
調教師
羽月 友彦
騎手
大野 拓弥
  • 母オリジナルスピン
    母オリジナルスピン
  • ダイワメジャーを受胎
    ダイワメジャーを受胎
  • 母オリジナルスピンと榊原さん(右)、スタッフの方々
    母オリジナルスピンと榊原さん(右)、スタッフの方々
  • メイン厩舎
    メイン厩舎
  • 牧場看板
    牧場看板

 11月9日京都競馬場で行われた11R、第5回みやこステークス(G3)(3歳上オープン16頭立て)で2番人気だったインカンテーションが3頭の激しい叩き合いを制し、直線で差し切って3連勝を飾り、昨年のレパードS(G3)に続く重賞2勝目を決めた。

 同馬の生産者である谷川牧場の代表取締役谷川貴英さんは京都競馬場へ応援にかけつけた。「ターファイトクラブの提供馬ですので会員さんや知り合いの方々、関係者も応援に来てくれて、みんなで一緒に観戦していました。白熱したレースになり、ゴールしたあとに初めて勝利したことを実感しました。周りの皆さんと握手をして喜び合いましたよ。インカンテーションには、良く頑張ったと声をかけてあげたいです。」と明るい笑顔でレース後の様子を教えてくれた。 

 この1年で、馬は心身ともに大きく成長した。そして、この勝利でチャンピオンズC(G1)の優先出走権を勝ち取った、いよいよ待望のG1レースだ。

 「次はチャンピオンズC(G1)に向かうことになりますが、楽観視はしておりません。このレースに目標を絞ってくる馬もいるでしょうし、休み明けを叩かれた実力馬たちも集まってくるはずです」と挑戦者として、思い切ったレースをしてくれることを期待している。

 牧場時代のインカンテーションは意外にもおっとりした性格の馬だったという。「もともと体型が良い馬で、期待馬でした。性格は大人しく、怪我や病気もしない手がかからない馬でしたよ。」試行錯誤しながら夜間放牧していたが、インカンテーションが離乳する頃から新しく自然の坂路を利用した大きな広い放牧地を利用するようにしたそうだ。「その放牧地卒業の第一期生がインカンテーションなんです。良い結果に結びついて嬉しいです。」

 谷川牧場は次々と活躍馬を輩出している印象だが「名門と言われていますが、私の時代になってからはまだG1レースを勝っていないので実感はあまりありません。」と照れながらも「これからもターファイトクラブの会員さんや牧場を応援してくれる馬主さんに喜んで頂ける馬作りをしたいですね。G1、クラシックレースに勝つ馬を育てたい。」力強い誓いが現実味を帯びてくる。

 母オリジナルスピンはイギリスから輸入した。当初からかなり期待していたという。「父シニスターミニスターは新種牡馬で、なんとしても成功させたいという強い思いがありました。うまく配合が合ったので良かったです。」

 オリジナルスピンは現在、ダイワメジャーを受胎、来春の出産を静かに待っている。午後2時過ぎから夜間放牧に出て、翌朝8時過ぎに集牧、その他の時間は厩舎でゆっくり過ごしているそうだ。これからは出産に向けてデリケートな時期に入るため、スタッフの気遣いも細やかだ。写真を撮るためにオリジナルスピンを連れて来てくれたスタッフの榊原さんは「馬格が良いですね、体が大きくてしっかりしています。普段はとても大人しい馬なんですよ。」と説明してくれた。いつもはのんびり過ごすはずの時間に連れ出され、少しテンションが高めになった。落ち着かない姿に、「お前の子供は走るからなぁ。」と優しく声をかけ、「お前のおかげなんだよな、ありがとうな。」と首筋をポンとたたきながらなだめられて大人しくなる姿が微笑ましかった。

 谷川貴英さんはじめ、スタッフのみなさんのモットーは「怪我なく病気なく。早期発見、早期治療」。「とにかくちいさな変化を見逃さない事です。スタッフも、自分の馬であるという感覚で接してくれているので安心しています」。細やかなケアに手を抜かない。スタッフ一丸となっての勝てる馬作り。

 そんな谷川牧場で生まれた馬からG1優勝馬が出てくるのは、そう遠い先ではないような気がする。まずは12月7日中京のチャンピオンズC(G1)に期待したい。